あたたかい飲みものが恋しくなる季節に。 10月 10, 2025 ようやく秋らしい空気になりましたね。昼間の陽ざしはやわらかく、朝晩は少しひんやり。そんな“温度のゆらぎ”が心地よくて、歩いているだけで気分が晴れます。この季節になると、あたたかい飲みものが恋しくなります。コーヒーやカモミールティーを淹れて、湯気を眺めながらぼんやり過ごす時間。そんなひとときに欠かせないのが、オキニイリのマグカップです。
やさしい雨の線と、オクリモノ 10月 03, 2025 雨にぬれたアジサイ、しっとりと光る石畳、そして水盤に広がる静かな波紋──引っ越してきたあの日、神楽坂で出会ったその風景は、今も胸の奥に鮮やかに息づいています。その記憶が、いま紙の上でやさしい線となり、オクリモノを包むかたちへと姿を変えています。
一目惚れからはじまる、私の一碗 9月 26, 2025 はじめて手にした「かいらぎ」のうつわに、心を奪われたあの日。釉薬のちぢれが生む景色は、光や角度によってゆらぎ、ひとつとして同じ姿はありません。その印象は時を経ても消えることなく、暮らしの中で折にふれてよみがえります。もう一度その景色に会いたくて、兵山窯を訪ね、アメノイエのためにお茶碗とどんぶりを作っていただきました。かいらぎと錆巻き、ふたつの表情が、これからの食卓を静かに彩ってくれることでしょう。
せいろで味わう神楽坂 9月 19, 2025 愛用している山一さんのせいろを取り出し、五十番神楽坂本店で買った肉まんとちまきを蒸してみました。ふたを開けた瞬間に立ちのぼる湯気。もちもちの皮からあふれる旨み。まるでできたてのような仕上がりに、思わず笑みがこぼれます。シンプルな温め直しも、せいろを使うだけで丁寧な時間へと変わっていく。忙しい日常のなかでも、心に小さな余白をもたらしてくれます。
透明ではない美しさに惹かれて 9月 12, 2025 朝の陽がきらきらとリビングに差し込む日。こんな朝には、木村硝子店のサンサボウルの出番です。朝食の支度をしながらも、つい手に取って光にかざしてみたくなる。ガラスの中に浮かぶ無数の小さな気泡が、光を受けて星屑のように瞬きます。ほんのり青みを帯びたグレーの色合いは、透明なガラスにはない静けさをまとい、慌ただしい朝にひと呼吸をもたらしてくれるのです。ガラスのうつわといえば、澄みきった透明さを思い浮かべる方も多いでしょう。けれど、このサンサボウルを手にすると、そこには透明とはまた異なる、美しさのかたちが見えてきます。
桃の香りに包まれる、季節のひととき 9月 05, 2025 先日、実家から箱いっぱいの桃が届きました。箱を開けた瞬間、台所いっぱいに広がった甘やかな香りに思わず深呼吸。手に取ればやさしく応える果実の弾力が、まるで「今が一番おいしい」と語りかけてくるようでした。そんな桃を前に、私は一本のナイフを手に取ります。
オープンデイのお知らせ 8月 29, 2025 夏の熱気が少しずつ遠ざかり、朝晩の風がひんやりと心地よい季節になりました。 これまで、旅の途中で出会った器や道具たちをオンラインショップでお届けしてきましたが、ありがたいことに北は北海道から南は九州まで、そして海を越えた国々からも、アメノイエを選んでくださる方がいると知り、心から感謝しております。 ものづくりが盛んな日本には、土地ごとに根ざした文化があって、その奥深さに触れるたびに静かな感動を覚えます。
鉄のフライパンと過ごした一年 8月 22, 2025 買ってから、もう一年になる鉄のフライパン。 毎日のちょっとした炒めものから、休日のしっかり焼き物まで。台所でのあれこれにそっと寄り添ってくれたのは、新潟・三条の鍛冶職人さんが作る「野鍛冶やまご」の鉄フライパンでした。 薄くて軽やかに作られているので、鉄のフライパンにありがちなずっしり感がなく、片手でも扱いやすいのが本当に嬉しい。女性でも気軽に手に取れるのが頼もしいところです。 テフロンのフライパンも使っていましたが、どうしても加工が剥がれてしまうと買い替えが必要になります。だから、ずっと使い続けられるこの鉄のフライパンを選びました。日常で気軽に手に取れるし、手入れ次第でずっと一緒に使える。そういう安心感もあって、自然と出番も増えました。
うつわを迎え入れる日 8月 08, 2025 新しいうつわを手に入れた日。包みをほどいて、うつわをそっと手に取るあの瞬間に、ふわっと心が踊ります。 光の加減で釉薬がきらりと光ったり、手のひらに沿うやわらかな丸みにふれてみたり。うつわを眺めながら、何を盛ろうか、どんなふうに使おうかと想像するだけで、気持ちがふわりと浮き立ちます。 ただの道具なのに、出会ったばかりのうつわが、これからの食卓の景色を少し変えてくれそうな気がして。そんな予感が、静かに心を弾ませてくれるのです。
一息の時間をつくる道具たち 8月 01, 2025 私は、飲みものが好きです。白湯、紅茶、緑茶、ほうじ茶、中国茶、コーヒー、水、ビール、ワイン、日本酒…。思いつくままに並べていたら、止まらなくなってしまいました。 喉ごしのいい冷たい飲みものも、ほっと落ち着くあたたかい飲みものも、そのときの気分や時間に合わせて、自然と手が伸びています。食べることも好きだけれど、どちらかというと「飲むこと」のほうに、気持ちが向いている気がします。だからでしょうか。いつの間にか、飲みものまわりの道具にも、ちょっとしたこだわりが出てきました。
暮らしの中で、“道具”を楽しむ 7月 25, 2025 先日、長野県の安曇野へ旅に出かけました。山あいの空気は少しひんやりとしていて、深く息を吸うたびに、体の奥がゆるやかにほどけていくような感覚。 立ち寄った道の駅では、地元の野菜や果物にまじって、美しく並んだ乾麺のそばが目にとまりました。石臼で挽いたような香りがしそうな、素朴で誠実なパッケージ。迷うことなく手に取り、お土産に。 帰ってきた週末、そのおそばを茹でて、お昼に「とろろそば」に。すり鉢を取り出し、長芋を擦る時間も、旅の余韻のように静かで穏やか。音、香り、手の感触。ひとつひとつが心地よくて、「こういう時間こそが、生活の真ん中にあってほしいものだな」と、ふと思いました。
夏のごはん、うつわとともに 7月 18, 2025 毎日のように気温は30度を超え、外に出るだけで汗ばむような暑さが続いています。湿度も高く、体力を消耗しがちなこの季節。何を食べようか考えるのも、少しおっくうになる日もありますね。そんなときに自然と手が伸びるのが、やっぱり麺料理。 火を使う時間はなるべく短く、のど越しがよくて、するりと食べやすいもの。そうめん、冷やし中華、フォー、うどん……涼しさを求めて、つるりと心地よいごはんが食卓に並びます。そしてもうひとつ、この時季に欠かせないのが「盛るうつわ」。どんなうつわに盛るかで、料理の表情も、食卓の空気も大きく変わってくるものです。今回はそんな“夏の麺ごはん”に寄り添ってくれる、渓山窯さんのうつわをあらためてご紹介したいと思います。