ヒビノコト

「アメノイエの住人」雨野紡が日々の暮らしを綴る日記です。
家の中での過ごし方や産地での出会いをこちらでご紹介します。

ヒビノコト

カゴがよく似合う季節になりました
キセツ

カゴがよく似合う季節になりました

私のオキニイリのカゴ 春はもうすぐそこまで来ているようです。窓から入る風にもどこか軽やかな気配が混じりはじめました。 厚手のブランケットや毛布もそろそろしまおうかと思いながらも、まだ朝晩は冷えて少し悩ましいこの頃。それでも、洋服も家の中も、少しずつ春仕様に整えていきたくなる季節です。 暖かくなってくると、なぜだかカゴを手に取りたくなります。もともとカゴが大好きで、気づけば家のあちこちに置いてあります。キッチンやリビングの棚、そして玄関の片隅にも。いったい何個持っているのか、自分でも分からなくなるくらい、いつの間にか増えてしまいました。それでも不思議と、同じ表情のものはひとつもなく、編み方や素材、形が少し変わるだけで、それぞれに違う空気をまとっています。 今日は、その中でも特にお気に入りのカゴをご紹介したいと思います。   部屋でも外でも、頼れるバスケット 普段は、リネン類を整えたり、お茶セットをまとめたり。 部屋の収納として活躍してくれているのが、南風工藝のバスケットです。 竹の凛とした質感は、散らかりがちな日用品もすっきりと見せてくれるのでとても気に入っています。   蓋なしのタイプもありますが、私はピクニックが好きなので、外へ持ち出すことも考えて蓋付きのものを選びました。 おやつや飲みものをパパっと詰め込むだけで、気軽にピクニックの準備が整います。   竹の盛篭 こちらは南風工藝の盛篭。 同じ竹でも、形や編み方が変わるだけで、こんなにも雰囲気が変わるのが面白いところです。 底から縁にかけて交差しながら広がる網目は、どこか軽やかで、やさしい表情。整然とした編み目からは職人の丁寧な手仕事が静かに伝わってきます。 果物を入れたり、お煎餅の袋を置いておいたり。この美しい竹の編み目が、何を入れても整って見せてくれるのです。   おむすびを、一番おいしい状態で 「おにぎり入」という名前がまさにぴったりな、この小さなカゴ。 竹は通気性があり蒸れにくいので、おにぎりがべたつきにくく、ピクニックでお弁当を持っていくときにはバスケットとセットで登場します。   散らばりがちな文房具などの小物入れとしてもちょうどよく、何個もほしくなってしまうサイズ感です。   飴色に育てていく、あけびのカゴ 大好きなあけびのカゴは、気づけば大中小すべてのサイズを揃えてしまいました。 あけびは、使ううちに手の油や空気に触れて、だんだん深い飴色に変わっていく素材です。 型崩れしにくくて水にも強いので、気負わず使えるのが魅力。まさに「育てていく道具」という感じで、数年後の色艶が今から楽しみです。...

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旅立つ人へ贈りたいもの
オクリモノ

旅立つ人へ贈りたいもの

やわらかな光と春の足音 三月になり、窓から差し込む光が少しずつやわらかくほどけていくように感じます。家の窓から見える枝垂れ桜にもいつの間にかたくさんの蕾がつき、日に日にふっくらと膨らんでいく様子を眺めるのが、ここ最近のささやかな楽しみです。 そんな些細な変化に心が躍る季節ですが、この時期はどうしてもお別れが重なるもの。長年お世話になった仕事仲間や友人が、遠くの街へ引っ越していくことになりました。 寂しさを堪え、新しい環境へと飛び出していく大切な人の門出には、心からのエールを込めてとっておきのものを贈りたい。そんな気持ちが自然と湧いてくるのです。  お世話になった仲間たちのこれからの暮らしを想像しながら、じっくりと贈り物を選びました。   光を楽しむ、はじまりのグラス おうち時間が好きな会社の先輩にはグラスがよさそうです。  刺激に満ちた毎日のなかで、ふと息をつきたくなるときもあるはず。 そんなとき、とびきりの一脚が傍らにあれば、きっと心を豊かに整えてくれると思うのです。 菊地大護さんのグラスは、淡いピンク色のやわらかなゆらぎが何よりの魅力。窓から差し込む光を掬い取るようにして、テーブルの上に水面のような影を落とします。その景色は、眺めているだけで飽きることがありません。   食のプロたちに長年愛されている木村硝子店のグラスもいいですね。直線的なフォルムが印象的な「ろーたす」は、どんな飲み物もすっと受け入れてくれるので、ワインはもちろん、アイスコーヒーやお茶、お水などにも。   洋梨のようなフォルムが可愛らしい「ぺあ」は、会社のおしゃれな先輩に選びました。ステムが短いので普段使いしやすく、炭酸水やビールもぺあに注ぐだけでいつもと少し違った雰囲気に。パフェを入れても楽しめる、個性的ながらも万能なグラスなのです。 あの人にはこの形が似合うかなと、贈る相手の顔を思い浮かべながら選ぶひととき。 お別れは寂しいけれど、新しい暮らしに寄り添う姿を想像すると、自然とあたたかい気持ちになれますね。   香りと手触りを贈る お世話になった取引先の方には、ハンドソープとハンドタオルのセットを。 実用的ながらも日常の質を変えてくれる、kibnのハンドソープと、kontexのワッフルタオルの組み合わせです。 自然をたっぷり感じられるkibnの香りが好きで、よく贈り物に選ぶアイテム。樹木やハーブの中にほんのりとさわやかな柑橘が香り、男性にも女性にも喜んでいただくことが多いです。   合わせたのは、kontexのワッフルハンドタオル。大きめな凹凸がやさしく手になじみ、使うほどにふんわりと柔らかさが増していく、私のお気に入りのタオルです。 毎日の何気ない手洗いが、つい深呼吸したくなるような時間へと変わる。新しい環境のなかでも、肩の力を抜くきっかけになってほしいなと思います。   花を一輪、暮らしの景色に 親しい友人には、新見和也さんの花器を贈ろうと決めていました。  引越しをしたばかりの部屋というのは、ダンボールが片付いても、どこかよそよそしくて落ち着かないもの。 そんなまだ慣れない空間の緊張を少しでもやわらげてほしくて、彼女が好きなドライフラワーを一輪挿して手渡すつもりです。...

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漆で愉しむ、桃の節句。
キセツ チャノマ

漆で愉しむ、桃の節句。

桃の花に、せかされて あっという間に二月も終わろうとしています。仕事帰りにふらりと立ち寄った駅前の花屋には、まだ冷たい風のなか、春の枝ものがずらりと並んでいました。中でも目を引いたのは、鮮やかなピンク色の桃の花。まだ冬の気配が残る景色の中で、季節が静かに動き出していることを教えてくれるようでした。 ちょうど見頃を迎えた華やかな枝に惹かれつつも、手にとったのはまだ蕾の多いもの。家のなかで少しずつほころんでいく様子を眺めたかったからです。 「桃の節句」は、もともと季節の変わり目に邪気を払う行事なのだとか。子どもの成長を祝うイメージが強いですが、大人になった今でも、自分のために季節の節目を整える日として大切にしたいなと思うのです。 節句は来週ですが、当日は仕事の予定。 ゆっくり食卓を整える時間が取れそうになかったので、今年は少し早めに楽しむことにしました。   暮らしに馴染んできた、漆器たち せっかくの節句なので、今日はお気に入りの漆のうつわで食卓を彩りたいと思います。キッチンの奥の棚から取り出したのは、お正月以来となるお重と漆器椀。蓋をそっと開けると、ほのかに漆の香りが立ち上ります。迎えたばかりの頃のツンとした漆の香りはすっかりやわらいでいました。そんな些細な変化に、道具がわが家の暮らしに馴染み始めている実感が湧いて、なんだか嬉しくなります。 少し小さいかなと思っていた15cm角のお重も、ふたり暮らしには本当に使いやすく、特別な日には欠かせない存在になりました。 今回は、春の華やかな色味をどのように受け止めて、そしてどう映えさせてくれるのか。黒漆のなかに広がる景色を想像するだけで、わくわくしてきます。   黒いお重に映える、ちらし寿司 メインは、やっぱりちらし寿司。 マグロ、サーモン、鯛、いくら、きゅうり、玉子。 食材の色のバランスを確認しながら均等なサイズに揃えていきます。 ちらし寿司は、盛り付けのバランスがすべて。仕切りのない自由なお重の空間に、どう彩りを配置していくか。それは、真っさらなキャンバスに絵を描く作業によく似ています。 微調整しながら、四角い枠の中に少しずつ春を埋めていきます。 吸い込まれるような黒漆の地色は、昼の光の下で食材の色彩を驚くほど鮮明に浮かび上がらせてくれ、まるで宝石箱のようです。黒という色は、一見重厚ですが、最高の「引き立て役」なのだと改めて思います。   はまぐりと菜の花のお吸い物 お重の隣には、はまぐりのお吸い物を添えました。 少し早いこともありお店に並んでいるか不安でしたが、いつものスーパーを覗くと、立派なはまぐりを見つけて迷わずかごに入れたものです。   味付けはシンプルに。昆布とはまぐりから出る出汁に、お酒とお塩をひとつまみだけ。火にかけてしばらくすると「パカッ」と元気な音を立てて殻が開き、ふわりと磯の香りが立ち上ります。 ここに菜の花も加え、やさしいながらも深みのある味わいは、調味料では表現できない、まさに春の一杯です。   少し残った菜の花はお浸しにしていただきます。今回の菜の花はとても新鮮だったようで、苦みが驚くほど少なく、瑞々しさが際立っていました。   季節の移ろいを愉しむ、お茶の時間 食後は、お気に入りの急須でお茶を淹れ、お重のもう一段に忍ばせておいた春の和菓子を堪能しました。あたたかいお茶とたわいもない話でゆったりと過ごす、心ほどけるような午後の時間。...

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光を淹れる、日ノ出ガラスポット
ダイドコロ チャノマ

光を淹れる、日ノ出ガラスポット

春の気配とともに 先日、友人に誘われハーブガーデンを訪れました。少しずつ春をまといはじめた空気のなか、やわらかな陽射しが降り注ぐ園内へ足を踏み入れて大きく深呼吸すると、都内では味わえない澄んだ香りが胸いっぱいに広がります。 天井の高いハウスの中には、緑の道がゆるやかに続いていました。葉の揺れる音や土の匂い、ところどころに差し込む光を感じながら歩いていくと、奥に明るく開けたグロッサリーコーナーがあらわれます。 棚いっぱいに並ぶハーブやスパイス。どこから見ようか迷ってしまうほどの充実ぶりです。 茶葉をひとつずつ確かめるたび、香りの向こうに過ごす時間が思い浮かびます。ジャスミンの豊かな香り、レモングラスの清々しさ、和柑橘のほろ苦い余韻。これからの日々に寄り添う場面を想像しながら、いくつかをお土産に選びました。 愛用のガラスポットの中で、色や香りがほどけていく様子を思い浮かべると、 思わず頬がゆるみます。   茶葉の色と対流が美しく見える、ガラスの魅力 ガラスのポットを使ういちばんの愉しみは、茶葉の表情をそのまま眺められること。湯を注いだ瞬間、眠っていた葉がふわりと目を覚まし、ゆっくりとひらきながらやわらかな流れをつくっていきます。 透明なうつわのなかで光を受けながら巡るその動きは、小さな水の景色を見ているよう。お茶の色はゆっくりと深まり、グラデーションを描いていきます。ゆらりと揺れる茶葉を眺めていると、不思議と呼吸まで整っていくのです。 そして、ガラスという素材の潔さ。香りが移らず、前の一杯の記憶を残さないからこそ、その日の茶葉の個性をまっすぐに受け止めてくれます。 飲む前の支度だったはずの時間が、淹れることから愉しませてくれる。日ノ出ガラスポットは、そんな小さな豊かさを教えてくれる存在です。   今日のお茶はどれにしよう? 選ぶ楽しみ 朝、ポットを食卓に置くと、その日の気分に合う香りを探すように棚を眺めます。茶葉を手に取るたび、湯気の向こうに過ごす時間が思い浮かび、まだ淹れていないのに気持ちが軽くなっていきます。 ジャスミンの花が入った茶葉を選んだ日は、ほんのり甘いエクレアを添えて、ゆっくりとした午後のティータイムを。花の香りが湯気とともに立ちのぼり、なめらかなクリームの余韻と重なります。窓からの光もやわらかくて、時間まで甘く感じられるようでした。 またある日は、きりっと爽やかなレモングラスを。アップルパイを温めて、すっきりとした香りと合わせます。りんごのやさしい酸味とハーブの清涼感が心地よく、気持ちまで整っていくような組み合わせ。 そして在宅の日の午後には、黒文字と和柑橘のノンカフェインティー。静かにデスクへ向かいながら、ふと立ちのぼる香りに肩の力を抜いてもらいます。 お茶を選ぶことは、その日の自分を選ぶことなのかもしれません。   日常に寄り添う、日ノ出ガラスポットという存在 日ノ出ガラスポットは、ただお茶を淹れるための道具、というだけではない気がしています。 透明な佇まいは主張しすぎず、それでいて確かにそこに在り、朝の光も午後の影もそのまま受け止めながら暮らしの景色にすっと溶け込みます。 湯を注ぎ、茶葉がひらき、ゆっくりと巡る。その動きを眺めていると、一杯のお茶の中に、その日の気分や空気がそのまま映り込んでいるように思えるのです。 忙しい日も、少し気持ちが揺れる日も、そのゆらぎを見つめているうちに、急いでいた心がほどけていく。気がつくと、いつもの自分の調子に戻っているように感じます。 香り、色、動き。五感で味わう時間は、決して特別な日のためだけのものではなく、むしろ、何でもない一日をやさしく照らしてくれるもの。 今日もまた、棚の前で立ち止まりながら、「さて、どれにしよう」と小さく考える。そんな時間ごと、このポットは受け止めてくれているのだと思います。  

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時を越えて届くもの。牛丸さんのアトリエを訪ねて
旅日記

時を越えて届くもの。牛丸さんのアトリエを訪ねて

定期的に訪ねたくなる場所 引っ越しを機に、新しい家具を探していた頃。ご縁があって出会ったのが「Wormhole Furniture」の牛丸さんでした。 新生活を始めるにあたり、部屋の雰囲気を決める大切な家具選びで、本当にお世話になった存在です。以前コラムでもご紹介しましたが、引っ越しが一段落した今でも、定期的に牛丸さんのアトリエへ足を運んでいます。 扉を開けるたびに広がる、木の香りと静かな空気。 そこには、長い年月を旅してきた家具たちが、誇らしげでありながらも、どこか慎ましく佇んでいます。木の質感や鉄の重み、使い込まれた表情。それぞれが確かな時間をまといながら、静かに並んでいるのです。 同じ場所なのに、訪れるたびに景色が違う。「今日はどんな出会いがあるだろう」と、自然と足取りが軽くなる。アトリエへ向かう時間は、私にとって小さな宝探しのようなひとときでもあります。   日常を彩る、小さなヴィンテージたち 最初は、ダイニングテーブルや椅子、棚など、大きな家具を揃えることから始まりました。牛丸さんに教えていただきながら、少しずつ家の土台が整い、今では愛着のわく家具に囲まれて暮らしています。 暮らしが落ち着いてくると、次に目が向くのはその“余白”でした。最近の楽しみは、棚にそっと飾る小さなオブジェや、食卓に静かな深みを添えてくれるヴィンテージのうつわを探すこと。 新しいものにはない、長い年月だけが醸し出せる独特の佇まい。そんな「時間を纏ったもの」がそこにあるだけで、見慣れたはずの部屋の景色まで、どこか奥行きを増して魅力的に見えてくるのです。ふとした場所に置くだけで空間に奥行きを与えてくれる、その静かな力に心惹かれています。 牛丸さんの審美眼で選ばれたアイテムは、どれも個性的でありながら、今の暮らしにすっと馴染むものばかり。決して主張しすぎないのに、空間の温度をほんの少しだけ変えてくれる。眺めていると、それらが歩んできた背景を、つい想像してしまいます。   選ぶ人のまなざし 牛丸さんのアトリエには、さまざまな国から集められたヴィンテージ品が並んでいます。日本の和家具、フランスやデンマークの椅子や照明。あたたかな木製家具から、無骨なインダストリアルのアイアンアイテムまで、その幅は想像以上に広いものです。 不思議なことに、どれもが同じ空間の中で自然に呼吸している。時代も国も異なるはずなのに、どこか静かな調和があります。 わが家の家具も、日本、フランス、デンマークと、いくつもの国のヴィンテージを組み合わせています。特別なルールを決めたわけではなく、ただ「好き」という気持ちに素直に選んでいくと、自然と今の景色になりました。 とはいえ、選ぶときにはいつも少し不安になります。「これとこれは、組み合わせてもおかしくないですか?」そう尋ねる私に、牛丸さんは丁寧に理由を添えて答えてくれます。木の色味、脚のライン、空間の抜け方。感覚だけでなく、そこには長年ヴィンテージを扱ってきたからこその、揺るぎない視点があるのです。 何より、お話ししていると伝わってくるのは、牛丸さん自身の、家具に対する深い愛情。「好き」という根底にある情熱が、国や時代の壁を軽々と飛び越え、調和という一つの形を作り上げているのかもしれません。   フランスの風と、暮らしの背筋 先日、友人とランチに訪れたご飯屋さんで、ふと目に留まったうつわがありました。 少し厚みのある白磁。縁のやわらかな曲線。使い込まれたことで生まれた、控えめな艶。 派手ではないのに、どこか凛とした佇まいがあります。聞けば、それはフランスのヴィンテージ食器とのことでした。 料理そのものはいつもと変わらないはずなのに、そのうつわに盛られているだけで、食事の時間が少しだけ特別に感じられたのです。 日本各地で制作されている作家さんのうつわも、もちろん大好きです。土の温もりや、作り手の息遣いを感じるうつわは、日々の食卓にやさしい温度を添えてくれます。 けれど、生活の中にヴィンテージのアイテムを取り入れると、不思議と背筋がすっと伸びるような感覚があります。時を重ねてきたものが、いまの暮らしに加わることで、いつもの景色がほんの少しだけ深くなる。 それは決して背伸びではなく、時間とともにある豊かさを、そっと手元に迎えるということなのかもしれません。  ...

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育つ時間に、そっと寄り添う贈り物。
オクリモノ ナカマイリ

育つ時間に、そっと寄り添う贈り物。

小さなお友だちとの再会 お湯を沸かす音を聞きながら、何度も時計を何度も確認してしまう、そんなある日の昼下がり。2歳になったばかりの小さなお友だち「りっくん」が、わが家に遊びに来てくれました。 最後に会ったのは、半年前だったでしょうか。 大人にとっての半年はあっという間でも、小さな子どもにとっては、きっと世界がひっくり返るほど長い時間。 「覚えていてくれるかな」「泣かれちゃったらどうしよう」 そんな小さな不安を抱えながら待っていると、インターホンが鳴りました。 ドアを開けると、そこに立っていたのは、見違えるほど凛々しくなった「お兄ちゃん」の姿。 以前はおぼつかなかった足取りも、しっかりと自分の足で地面を踏みしめて歩いています。少し見ない間に、こんなにも大きくなって。その成長ぶりに、再会の喜びと同時にじんと胸が熱くなりました。   2歳のお誕生日おめでとう 初めてのわが家に少し緊張ぎみだったりっくん。 友人のそばをぴたりと離れませんでしたが、お菓子を食べたりお茶を飲んだりするうちに、ようやくこの場の空気に慣れてくれた様子。 その頃合いを見計らって、用意していたお誕生日プレゼントを渡しました。 小さな子への贈りものとなると、いつものプレゼント選びよりも難しく、苦戦しました。 真っ先に浮かぶのはおもちゃですが、自我がしっかりしてきた男の子となると、今の好みを正確に把握するのは至難の業。それなら、毎日気兼ねなく使ってもらえるものを。 そう思って手に取ったのが、tiny mame (タイニーマメ) のベストとバスタオルのセットでした。 2歳という時期は、きっとよく動き回りますよね。 お風呂上がりだって、じっとしてはいられないし、布団に入っても、きっと寝相も豪快なはず。 だから、大切なお腹を冷やさないように。湯冷めをしてしまわないように。 おもちゃのような華やかさはないけれど、りっくんの毎日にそっと寄り添ってほしい。 そんな想いを込めて選びました。   5歳まで着れるベスト 早速包みを開けてみると、彼は興味津々といった様子で熱い視線を送っています。 「ちょっと、着てみる?」 ベストを取り出して声をかけると、嫌がることもなく、自ら小さな腕を袖に通してくれました。 うん、サイズ感もばっちり。...

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愛用のミルと、中華ランチ
チャノマ

愛用のミルと、中華ランチ

ある休日の昼支度 休日の午前中は、時間の進み方がいつもより少しだけ緩やかです。 洗濯を回して、読みかけの本をめくっていたら、いつの間にかお昼どき。お腹の時計は正直なもので、そろそろ何か美味しいものを求めて主張し始めます。 そのとき頭をよぎったのは、先日訪れたお店で出会った、あの麻婆豆腐のこと。 テーブルの横に置かれた山椒と花椒をひと振りした瞬間、鼻を抜ける鮮烈な香りと痺れるような美味しさに、すっかり心を奪われてしまいました。 「あの味を、おうちでも再現してみたい」 そんな思いで手に入れた花椒の粒。キッチンに立ち、その袋を開けたとき、ふと視界に入ったのが、コンロ脇の定位置にいる「木工ヤマニ」さんのペッパーミルでした。 以前ご紹介した、私の頼もしい相棒です。 ヒビノコト Vol.63 胡椒好きの手が生んだ、香りの道具 これまでは「ブラックペッパー専用」として活躍してくれていましたが、迎えた時に作り手の内山さんが仰っていた言葉を思い出しました。  「ブラックペッパー以外にも、山椒やコリアンダーシードも挽けるんですよ。」 それなら、この花椒も挽けるのでは…。 今日はこのミルに活躍してもらい、中華ランチで決まりです。   花椒を挽いてみる まずは、花椒の挽き心地を確認してみます。 ちょうどブラックペッパーをすべて使いきっていたので、ミルの中は空っぽ。いいタイミングでした。 詰まりがないか確認してから、花椒を入れます。 「大きさは5mm以下、よく乾燥したもの」注意書きを見返しながら、パラパラと流し込みます。 スパイスの形状や硬さによっては、引っかかったり、空回りしてしまうこともあるそうですが、 私が愛用しているこの花椒はどうでしょうか。 少し緊張しながら、まずはつまみねじを締め細挽きしてみます。 手応えはいつもの通り、拍子抜けするほど滑らかです。愛用の花椒とは相性が良かったようで、引っかかることもなく、スルスルと挽けました。 つまみねじを反対側に回し、今度は粗挽きに。こちらも全く問題なさそうです。   あっという間に、中華な食卓 挽き心地もしっかり確認できたので、さっそく調理開始です。 今日はパートナーも手伝ってくれたので、準備はあっという間でした。私が麻婆豆腐を作っている横で、彼がサラダを仕上げてくれます。...

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大寒に仕込む、粗つぶし味噌
キセツ ダイドコロ

大寒に仕込む、粗つぶし味噌

一年で最も寒い「大寒」の日。今年はフードプロセッサーを使わず、すり鉢で「粗つぶし味噌」を仕込みました。大豆の感触を楽しみながら、じっくりと時間をかける冬の手仕事。半年後の解禁を夢見て育てる、味噌づくりの備忘録です。

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「私らしく」いられるインナー
ナカマイリ

「私らしく」いられるインナー

素肌に触れるものにはこだわりたい 年齢を重ねるにつれて、服選びの基準が少しずつ変わってきた気がします。 デザインやシルエットももちろん大切ですが、それ以上に「着心地がよいかどうか」。特に、素肌に直接触れるインナーは、一日中身につけるものだからこそ、妥協したくないのです。 寒い時期はもちろん、季節の変わり目の寒暖差や、冷房の効いた室内でも快適に過ごせるものはないだろうか。そんなふうに着心地のよいインナーを探し続けていましたが、ようやく「これだ」と思えるものに出会えました。   呼吸する繊維「メリノウール」 それは、me.のメリノウールロングスリーブ。 “スーパーエクストラファインメリノ” と呼ばれる、とても細い糸を使ったウールインナー。奈良の職人さんが古い編み機で、ゆっくりと時間をかけて編み上げているそうで、チクチクしにくく、肌あたりがとてもやさしいのです。 もちろん、メリノならではの調温機能も素晴らしく、たとえば、厚着をして満員電車に乗ったときや、暖房が効きすぎた部屋に入ったとき、いつもなら蒸れて不快になるところが、このインナーだとサラサラしたまま。 ただ暖かいだけでなく、余分な熱を逃がしてくれるので、一日中快適で、最近はついこればかり手に取ってしまいます。   透けるほど薄いのに、頼もしい さらに驚いたのは、その「薄さ」でした。最初は、冬は少し心許ないかなと心配になりましたが、そんな心配はご無用でした。むしろ、今ではこの透け感のある薄さが、いちばん使い勝手よく感じられます。着膨れすることもなく、動きも軽やか。出張や旅先にもかさばらず、さっと持っていけるのが助かります。   ひと目惚れした、メロウ 袖口と首元の「メロウ」も、このインナーの魅力のひとつ。控えめな可愛らしさで、大人の装いにも自然に馴染みます。 カーディガンやワンピースの下から、ほんの少しだけのぞかせると、いつもの服の表情が変わり、気分も少し上がります。   水色やイエローといった明るい色も、インナーなら取り入れやすく、差し色として加えてみると、思いのほかしっくりくるのが不思議です。 鏡の前で「今日はどの色にしよう」と悩む時間も、また楽しいひとときになっています。   私の定番として このインナーはワンサイズですが、やわらかくよく伸びるので、着た瞬間から体に馴染みます。 少し食べ過ぎてしまった日でも、お腹まわりが窮屈に感じることはなく、ストレスのない着心地。 これから年齢を重ねて体型が少しずつ変わっても、その変化ごと包み込んでくれる安心感があります。 「服が私に合わせてくれる。」そんなふうに感じさせてくれるインナーです。ブランド名の「me.」に込められた「私らしく」という想いも、すっと腑に落ちました。 贈りものとしてはもちろん、これから長く付き合う自分の定番としても、手放せない存在になりそうです。

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健やかな一年を願う七草粥
キセツ ダイドコロ チャノマ

健やかな一年を願う七草粥

日常へ戻る合図 お正月の賑わいがひと段落し、 家の中にも「いつもの時間」が戻ってくる頃。一月七日の朝は、七草粥を炊くことから始まります。 無病息災を願う、年はじめの習わし。ご馳走続きで少し重たくなっていた身体を休め、これから始まる一年を健やかに過ごすための、大切な区切りです。 どこか浮き足立っていた気持ちが、七草粥と向き合ううちに、少しずつ地に戻っていく。 背筋をしゃんと伸ばし、あらためて年の始まりに立つような朝です。   知ることで深まる冬の滋味 せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ。 名前はようやく覚えましたが、意外と見分けが難しくて。「これは……なずな、かな?」そんなやり取りを、毎年パートナーと交わしている気がします。 どれがどの葉もので、どんな効能があるのか。 シンプルな料理だからこそ、ひとつひとつの意味をきちんと理解してからいただきたい。パッケージのイラストと照らし合わせたり、ネットで検索してみたり。 ちゃんと「知る」というひと手間を経てから口にすることで、七草粥はただの習慣ではなく、自分の中にしっくりと残る一膳になる気がするのです。   お粥を炊く お粥を炊く日は、自然とカネダイの行平鍋に手が伸びます。二人分がちょうどよく収まるサイズ感で、熱をじんわり通すその性質も、お粥を炊くのにぴったり。 昆布で出汁をとり、お米を入れて火にかけます。 強く沸かさず、鍋の中の音に耳を澄ませながら、その間に七草の下ごしらえをします。   ほどなくしてお粥が炊き上がったら、火を止め、下茹でして刻んだ七草と、ひとつまみの塩を加え、やさしく混ぜ合わせたら完成です。   今年も健やかに過ごせますように あたたかいうちにいただきます。一口食べるたびに、温かさが身体中にじんわりと広がり、自然と気持ちもほぐれていきます。賑やかな食卓が続いていた今の身体には、この素朴でやさしい味わいが、一番の贅沢に感じられますね。  みなさんは、もう七草粥を召し上がりましたか。 旬の食材の力を借りながら、心と身体の調子をゆっくり整えていきたいですね。

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あけましておめでとうございます
チャノマ

あけましておめでとうございます

旧年中は、たくさんの出会いに恵まれ、心より感謝しています。人と人が顔を合わせることで、見えてくるものがある。そんなことを、あらためて感じた一年でした。本年も、ひとつひとつの出会いを大切に重ねていけたらと思っています。 元日の朝は空気がすっと澄んでいて、台所に立つ時間もいつもより特別に感じられます。 街がまだ目を覚ましきらないうちに、お湯を沸かし、うつわを並べ、ゆっくりと年のはじまりを迎えました。   初めての手作りおせち これまでは仕事柄、毎年いろいろなおせちをお取り寄せしてきました。けれど今年は、土直漆器さんに仕立てていただいた重箱を使い、人生ではじめて、おせちを手作りしてみることに。 年末におせちと向き合う時間は、 一年の締めくくりのようで、自然と背筋が整います。 おせちは、年神様をお迎えして 新しい年の健康や幸福を願うための料理ですが、  三が日をゆっくり過ごせるよう、  日持ちのするものをあらかじめ用意しておく、  そんな暮らしの知恵でもあったそうです。日持ちさせるために、  抗菌の力があると言われる漆のお重が使われてきたのだと、  自分の中で、腑に落ちた気がしました。 子どもの頃は、「お正月におせちは当たり前に出てくる食べ物」くらいに思っていましたが、大人になってその背景を知り、実際に自分の手でつくってみたことで、以前よりも丁寧におせちに向き合えるようになった気がしています。   わが家のお雑煮 お正月に、もうひとつ欠かせないのが、お雑煮です。 お雑煮は、地域や家ごとに、味も具材も本当にさまざま。澄ましだったり、味噌だったり。丸餅だったり、角餅だったり。 お正月に、土地の違う人と話す機会があると、つい「どんなお雑煮を食べますか?」と聞きたくなってしまいます。これまで出会ってきた人の中には、地域の特徴を組み合わせながら、その家庭ならではのお雑煮をつくっている方もいました。そんな何気ない会話の中から、その人が育ってきた場所や、家の台所の風景が垣間見えるのも、なんだかおもしろいのです。   今年も、暮らしの中から こうして年のはじまりを迎え、 さまざまな作り手の方たちと一緒につくったうつわでしつらえた食卓を囲む時間は、より一層特別に感じられます。年々、こうしたものが少しずつ増えていき、暮らしが充実していることを実感できるのも、またうれしいことです。 今年も、一つずつ、心から素敵だと思えるものに出会いながら、日々を豊かに過ごしていきたい。そして、オンラインだけでなく、たくさんの出会いを思い描きながら、直接お会いできる場も用意していけたらと思っています。 みなさんにとっても、穏やかで、実りある一年になりますように。 本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

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一年の終わりに、感謝を込めて

一年の終わりに、感謝を込めて

あっという間に、2025年も終わりを迎えようとしています。今年一年、みなさんはどんな時間を過ごされたでしょうか。 私はというと、今年は「人との出会い」にたくさんの気づきをもらった一年でした。 これまでオンラインを通して、日々の暮らしや仕事、旅の途中で出会ったものたちを、文章と写真でお届けしてきました。ものの奥にある背景や、作り手の想いも含めて伝えたい。そんな気持ちで、ひとつひとつに向き合ってきました。 けれど、文字と写真だけでは、どうしても伝えきれないことがあります。たとえば、うつわの手触りや、光の入り方で変わる表情。それをどう感じるかは、人それぞれで、決まった答えがあるわけではありません。だからこそ、実際に手に取り、その人自身の感覚で、自由に愉しんでもらえたら。 そんな想いが、少しずつ強くなり、この秋、神楽坂の家を月に二度だけひらく、オープンデイを始めることにしました。 9月、はじめてオープンデイを開催した日のことは、今もよく覚えています。扉をひらく直前まで、少し落ち着かない気持ちでいたあの緊張感。けれど、足を運んでくださったみなさんと顔を合わせた瞬間、そんな気持ちは自然とほどけていきました。 うつわの盛りつけ方についてお話ししたり、一緒にうつわの表情や組み合わせを選んだり。ときには、神楽坂のすてきなお店を教えていただくこともありました。対面だからこそ会話も自然と広がり、オンラインでは見えていなかったことが、やり取りの中で次々と見えてきます。   11月には香りのブランドLunefの安藤明日生さんをお迎えし、自分だけの香りをつくるワークショップも開催しました。ひとつひとつの香りに静かに向き合い、好みや感覚など自分自身と対話する時間。その場に流れていた穏やかな空気も含めて、とても印象深いひとときでした。 そして12月には、はじめてPOP UPに参加しました。神楽坂を飛び出し、アメノイエをまだ知らない方々と出会う時間。いつもとは違う場所に身を置くことで、気持ちが自然と引き締まるような感覚がありました。 会場には、さまざまなジャンルのお店が集い、にぎやかであたたかな空気が流れていました。そんな場所で、たくさんの方が足を止めてアメノイエを知ってくださったこと。オープンデイでお会いした方が、立ち寄ってくださったこと。ひとつひとつが、うれしく、心に残る時間でした。 こうして振り返ると、いろんな出会いを重ねるたびに、視界が少しずつひらいていった一年でした。来年もまた、実際にお会いできる場を大切にしながら、アメノイエをひらいていきたいと思っています。 この一年、アメノイエに関わってくださったすべての方へ。心からの感謝の気持ちを込めて。どうぞ、よいお年をお迎えください。  

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