月兎印
どこか懐かしさを感じる琺瑯。
先日、春の陽気に誘われてお出かけをした際、アンティークショップの古びた棚の奥にひっそりと佇む琺瑯の調理道具が目に留まりました。
長い年月を経ても、その耐久性の高さが感じられ、年季の入った風合いがまるで時間を超えて優しく語りかけてくるようでした。
その瞬間、手に馴染む琺瑯は使ってこそ魅力が増すのだと気づき、味わいのある風合いを育てたいとおもうように。
探しているうちに出会ったのが、株式会社フジイのオリジナルブランド「月兎印」。
1950年に誕生した老舗ブランドです。
一点一点熟練の職人が手作業で丁寧に作り上げられた琺瑯は、美しい光沢に滑らかな手触りが特徴。これが長年の研鑽によって磨かれた職人技かと唸らされます。
実際に使ってみると、鉄とガラスの利点を兼ね備えた琺瑯の魅力をしっかりと感じることができました。
ミルクパンでジャム作り
早速、琺瑯のミルクパン「14cm」を使って手作りのジャムを作ってみました。
市販のものとは違い、余計なものは入れず砂糖の量も自分の好みに合わせて調節できるので、フルーツ本来の自然な甘さがそのまま感じられます。
琺瑯にはガラスのようなコーティングが施されているため、酸や塩分に強く変色しにくいので、ジャムやコンポート作りにぴったり。
また、表面が滑らかで食材や汚れがつきにくいため、トマトソースやカレーなども気にせず使えるのが嬉しいポイントです。
ただひとつ、心に留めておきたいのは、熱伝導の速さ。
あっという間に温かくなるため、火加減に気をつけて焦がさないように配慮する必要があります。
じっくりと味を引き出しながら、ひとときの静寂を大切にしたいですね。
ミルクパンでスパイスチャイを
鉄にガラス質の釉薬を施した琺瑯は、陶器やプラスチックとは異なり、食材の色だけでなく、香りまでも染み込みにくい特性を持っています。
そのため、食材の風味や香りをしっかりと閉じ込めてくれるのだとか。
その特性を活かして、スパイスの効いた料理にもぴったりだと言われています。
せっかくなので、のんびりした午後に香り高いチャイをのんで一息。
ミルクパンは、両側に注ぎ口がついているので、利き手を気にすることなく使えるのが何かと便利。料理中に片手がふさがっているときなど、さりげない工夫が日常の中で大いに役立ちます。
毎日の料理にちょうど良いソースパン
ソースパンは「12cm」と「16cm」の二種類があり、用途に合わせて活躍してくれます。
どちらも蓋がついているため、料理の幅が広がりますね。
直径12cmのものは、一人分にちょうど良いサイズ。
ゆで卵やインスタント麺など少量の茹で物にも気軽に使用できます。
直径16cmは、3〜4人分のスープや味噌汁にぴったりな大きさで、普段使いのお鍋として便利です。
琺瑯鍋は熱伝導が均一で、温度ムラが少なく料理が均等に仕上がる点も優れたポイント。
特に長時間の煮込み料理では、食材の風味を引き立ててくれるため、仕上がりも抜群です。
また、琺瑯は鉄製の鍋に比べて軽く持ちやすいので、普段の調理がより快適になりました。
スリムポットで朝食の珈琲を
今回お家にお迎えしたのは「0.7ℓ」と「1.2ℓ」の二種類。
私はマグカップ2~3杯分のお湯を沸かせる小ぶりのサイズを愛用しています。
「1.2ℓ」は4~5杯分のお湯を沸かせるので、友人やお客さんが来たときの出番が多いです。
サビに強く耐熱性に優れ、直火で使用可能。
注ぎ口も細くなっているので、ケトルとドリップポットの機能を兼ね備えています。
忙しい朝でも珈琲を淹れたい私には、無くてはならない存在です。
琺瑯の白が春の明るさを映し出す
春の風がそよぐこの頃、ふと出会った「月兎印」の調理器具。
これからの季節を共に過ごし、時間とともに我が家に馴染んでいく姿を思い描くと、少しずつ育まれる佇まいが待ち遠しく感じられます。
「月兎印」の商品は、長い時間を共にするのにふさわしい技術が凝縮されています。
春の訪れとともに迎える新生活に、変わり続ける佇まいと変わらない頼もしさを。
皆さんも、琺瑯でキッチンを爽やかに彩ってはいかがでしょうか。