ヒビノコト

「アメノイエの住人」雨野紡が日々の暮らしを綴る日記です。
家の中での過ごし方や産地での出会いをこちらでご紹介します。

ヒビノコト

育つ時間に、そっと寄り添う贈り物。
オクリモノ ナカマイリ

育つ時間に、そっと寄り添う贈り物。

小さなお友だちとの再会 お湯を沸かす音を聞きながら、何度も時計を何度も確認してしまう、そんなある日の昼下がり。2歳になったばかりの小さなお友だち「りっくん」が、わが家に遊びに来てくれました。 最後に会ったのは、半年前だったでしょうか。 大人にとっての半年はあっという間でも、小さな子どもにとっては、きっと世界がひっくり返るほど長い時間。 「覚えていてくれるかな」「泣かれちゃったらどうしよう」 そんな小さな不安を抱えながら待っていると、インターホンが鳴りました。 ドアを開けると、そこに立っていたのは、見違えるほど凛々しくなった「お兄ちゃん」の姿。 以前はおぼつかなかった足取りも、しっかりと自分の足で地面を踏みしめて歩いています。少し見ない間に、こんなにも大きくなって。その成長ぶりに、再会の喜びと同時にじんと胸が熱くなりました。   2歳のお誕生日おめでとう 初めてのわが家に少し緊張ぎみだったりっくん。 友人のそばをぴたりと離れませんでしたが、お菓子を食べたりお茶を飲んだりするうちに、ようやくこの場の空気に慣れてくれた様子。 その頃合いを見計らって、用意していたお誕生日プレゼントを渡しました。 小さな子への贈りものとなると、いつものプレゼント選びよりも難しく、苦戦しました。 真っ先に浮かぶのはおもちゃですが、自我がしっかりしてきた男の子となると、今の好みを正確に把握するのは至難の業。それなら、毎日気兼ねなく使ってもらえるものを。 そう思って手に取ったのが、tiny mame (タイニーマメ) のベストとバスタオルのセットでした。 2歳という時期は、きっとよく動き回りますよね。 お風呂上がりだって、じっとしてはいられないし、布団に入っても、きっと寝相も豪快なはず。 だから、大切なお腹を冷やさないように。湯冷めをしてしまわないように。 おもちゃのような華やかさはないけれど、りっくんの毎日にそっと寄り添ってほしい。 そんな想いを込めて選びました。   5歳まで着れるベスト 早速包みを開けてみると、彼は興味津々といった様子で熱い視線を送っています。 「ちょっと、着てみる?」 ベストを取り出して声をかけると、嫌がることもなく、自ら小さな腕を袖に通してくれました。 うん、サイズ感もばっちり。...

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愛用のミルと、中華ランチ
チャノマ

愛用のミルと、中華ランチ

ある休日の昼支度 休日の午前中は、時間の進み方がいつもより少しだけ緩やかです。 洗濯を回して、読みかけの本をめくっていたら、いつの間にかお昼どき。お腹の時計は正直なもので、そろそろ何か美味しいものを求めて主張し始めます。 そのとき頭をよぎったのは、先日訪れたお店で出会った、あの麻婆豆腐のこと。 テーブルの横に置かれた山椒と花椒をひと振りした瞬間、鼻を抜ける鮮烈な香りと痺れるような美味しさに、すっかり心を奪われてしまいました。 「あの味を、おうちでも再現してみたい」 そんな思いで手に入れた花椒の粒。キッチンに立ち、その袋を開けたとき、ふと視界に入ったのが、コンロ脇の定位置にいる「木工ヤマニ」さんのペッパーミルでした。 以前ご紹介した、私の頼もしい相棒です。 ヒビノコト Vol.63 胡椒好きの手が生んだ、香りの道具 これまでは「ブラックペッパー専用」として活躍してくれていましたが、迎えた時に作り手の内山さんが仰っていた言葉を思い出しました。  「ブラックペッパー以外にも、山椒やコリアンダーシードも挽けるんですよ。」 それなら、この花椒も挽けるのでは…。 今日はこのミルに活躍してもらい、中華ランチで決まりです。   花椒を挽いてみる まずは、花椒の挽き心地を確認してみます。 ちょうどブラックペッパーをすべて使いきっていたので、ミルの中は空っぽ。いいタイミングでした。 詰まりがないか確認してから、花椒を入れます。 「大きさは5mm以下、よく乾燥したもの」注意書きを見返しながら、パラパラと流し込みます。 スパイスの形状や硬さによっては、引っかかったり、空回りしてしまうこともあるそうですが、 私が愛用しているこの花椒はどうでしょうか。 少し緊張しながら、まずはつまみねじを締め細挽きしてみます。 手応えはいつもの通り、拍子抜けするほど滑らかです。愛用の花椒とは相性が良かったようで、引っかかることもなく、スルスルと挽けました。 つまみねじを反対側に回し、今度は粗挽きに。こちらも全く問題なさそうです。   あっという間に、中華な食卓 挽き心地もしっかり確認できたので、さっそく調理開始です。 今日はパートナーも手伝ってくれたので、準備はあっという間でした。私が麻婆豆腐を作っている横で、彼がサラダを仕上げてくれます。...

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大寒に仕込む、粗つぶし味噌
キセツ ダイドコロ

大寒に仕込む、粗つぶし味噌

一年で最も寒い「大寒」の日。今年はフードプロセッサーを使わず、すり鉢で「粗つぶし味噌」を仕込みました。大豆の感触を楽しみながら、じっくりと時間をかける冬の手仕事。半年後の解禁を夢見て育てる、味噌づくりの備忘録です。

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「私らしく」いられるインナー
ナカマイリ

「私らしく」いられるインナー

素肌に触れるものにはこだわりたい 年齢を重ねるにつれて、服選びの基準が少しずつ変わってきた気がします。 デザインやシルエットももちろん大切ですが、それ以上に「着心地がよいかどうか」。特に、素肌に直接触れるインナーは、一日中身につけるものだからこそ、妥協したくないのです。 寒い時期はもちろん、季節の変わり目の寒暖差や、冷房の効いた室内でも快適に過ごせるものはないだろうか。そんなふうに着心地のよいインナーを探し続けていましたが、ようやく「これだ」と思えるものに出会えました。   呼吸する繊維「メリノウール」 それは、me.のメリノウールロングスリーブ。 “スーパーエクストラファインメリノ” と呼ばれる、とても細い糸を使ったウールインナー。奈良の職人さんが古い編み機で、ゆっくりと時間をかけて編み上げているそうで、チクチクしにくく、肌あたりがとてもやさしいのです。 もちろん、メリノならではの調温機能も素晴らしく、たとえば、厚着をして満員電車に乗ったときや、暖房が効きすぎた部屋に入ったとき、いつもなら蒸れて不快になるところが、このインナーだとサラサラしたまま。 ただ暖かいだけでなく、余分な熱を逃がしてくれるので、一日中快適で、最近はついこればかり手に取ってしまいます。   透けるほど薄いのに、頼もしい さらに驚いたのは、その「薄さ」でした。最初は、冬は少し心許ないかなと心配になりましたが、そんな心配はご無用でした。むしろ、今ではこの透け感のある薄さが、いちばん使い勝手よく感じられます。着膨れすることもなく、動きも軽やか。出張や旅先にもかさばらず、さっと持っていけるのが助かります。   ひと目惚れした、メロウ 袖口と首元の「メロウ」も、このインナーの魅力のひとつ。控えめな可愛らしさで、大人の装いにも自然に馴染みます。 カーディガンやワンピースの下から、ほんの少しだけのぞかせると、いつもの服の表情が変わり、気分も少し上がります。   水色やイエローといった明るい色も、インナーなら取り入れやすく、差し色として加えてみると、思いのほかしっくりくるのが不思議です。 鏡の前で「今日はどの色にしよう」と悩む時間も、また楽しいひとときになっています。   私の定番として このインナーはワンサイズですが、やわらかくよく伸びるので、着た瞬間から体に馴染みます。 少し食べ過ぎてしまった日でも、お腹まわりが窮屈に感じることはなく、ストレスのない着心地。 これから年齢を重ねて体型が少しずつ変わっても、その変化ごと包み込んでくれる安心感があります。 「服が私に合わせてくれる。」そんなふうに感じさせてくれるインナーです。ブランド名の「me.」に込められた「私らしく」という想いも、すっと腑に落ちました。 贈りものとしてはもちろん、これから長く付き合う自分の定番としても、手放せない存在になりそうです。

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健やかな一年を願う七草粥
キセツ ダイドコロ チャノマ

健やかな一年を願う七草粥

日常へ戻る合図 お正月の賑わいがひと段落し、 家の中にも「いつもの時間」が戻ってくる頃。一月七日の朝は、七草粥を炊くことから始まります。 無病息災を願う、年はじめの習わし。ご馳走続きで少し重たくなっていた身体を休め、これから始まる一年を健やかに過ごすための、大切な区切りです。 どこか浮き足立っていた気持ちが、七草粥と向き合ううちに、少しずつ地に戻っていく。 背筋をしゃんと伸ばし、あらためて年の始まりに立つような朝です。   知ることで深まる冬の滋味 せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ。 名前はようやく覚えましたが、意外と見分けが難しくて。「これは……なずな、かな?」そんなやり取りを、毎年パートナーと交わしている気がします。 どれがどの葉もので、どんな効能があるのか。 シンプルな料理だからこそ、ひとつひとつの意味をきちんと理解してからいただきたい。パッケージのイラストと照らし合わせたり、ネットで検索してみたり。 ちゃんと「知る」というひと手間を経てから口にすることで、七草粥はただの習慣ではなく、自分の中にしっくりと残る一膳になる気がするのです。   お粥を炊く お粥を炊く日は、自然とカネダイの行平鍋に手が伸びます。二人分がちょうどよく収まるサイズ感で、熱をじんわり通すその性質も、お粥を炊くのにぴったり。 昆布で出汁をとり、お米を入れて火にかけます。 強く沸かさず、鍋の中の音に耳を澄ませながら、その間に七草の下ごしらえをします。   ほどなくしてお粥が炊き上がったら、火を止め、下茹でして刻んだ七草と、ひとつまみの塩を加え、やさしく混ぜ合わせたら完成です。   今年も健やかに過ごせますように あたたかいうちにいただきます。一口食べるたびに、温かさが身体中にじんわりと広がり、自然と気持ちもほぐれていきます。賑やかな食卓が続いていた今の身体には、この素朴でやさしい味わいが、一番の贅沢に感じられますね。  みなさんは、もう七草粥を召し上がりましたか。 旬の食材の力を借りながら、心と身体の調子をゆっくり整えていきたいですね。

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あけましておめでとうございます
チャノマ

あけましておめでとうございます

旧年中は、たくさんの出会いに恵まれ、心より感謝しています。人と人が顔を合わせることで、見えてくるものがある。そんなことを、あらためて感じた一年でした。本年も、ひとつひとつの出会いを大切に重ねていけたらと思っています。 元日の朝は空気がすっと澄んでいて、台所に立つ時間もいつもより特別に感じられます。 街がまだ目を覚ましきらないうちに、お湯を沸かし、うつわを並べ、ゆっくりと年のはじまりを迎えました。   初めての手作りおせち これまでは仕事柄、毎年いろいろなおせちをお取り寄せしてきました。けれど今年は、土直漆器さんに仕立てていただいた重箱を使い、人生ではじめて、おせちを手作りしてみることに。 年末におせちと向き合う時間は、 一年の締めくくりのようで、自然と背筋が整います。 おせちは、年神様をお迎えして 新しい年の健康や幸福を願うための料理ですが、  三が日をゆっくり過ごせるよう、  日持ちのするものをあらかじめ用意しておく、  そんな暮らしの知恵でもあったそうです。日持ちさせるために、  抗菌の力があると言われる漆のお重が使われてきたのだと、  自分の中で、腑に落ちた気がしました。 子どもの頃は、「お正月におせちは当たり前に出てくる食べ物」くらいに思っていましたが、大人になってその背景を知り、実際に自分の手でつくってみたことで、以前よりも丁寧におせちに向き合えるようになった気がしています。   わが家のお雑煮 お正月に、もうひとつ欠かせないのが、お雑煮です。 お雑煮は、地域や家ごとに、味も具材も本当にさまざま。澄ましだったり、味噌だったり。丸餅だったり、角餅だったり。 お正月に、土地の違う人と話す機会があると、つい「どんなお雑煮を食べますか?」と聞きたくなってしまいます。これまで出会ってきた人の中には、地域の特徴を組み合わせながら、その家庭ならではのお雑煮をつくっている方もいました。そんな何気ない会話の中から、その人が育ってきた場所や、家の台所の風景が垣間見えるのも、なんだかおもしろいのです。   今年も、暮らしの中から こうして年のはじまりを迎え、 さまざまな作り手の方たちと一緒につくったうつわでしつらえた食卓を囲む時間は、より一層特別に感じられます。年々、こうしたものが少しずつ増えていき、暮らしが充実していることを実感できるのも、またうれしいことです。 今年も、一つずつ、心から素敵だと思えるものに出会いながら、日々を豊かに過ごしていきたい。そして、オンラインだけでなく、たくさんの出会いを思い描きながら、直接お会いできる場も用意していけたらと思っています。 みなさんにとっても、穏やかで、実りある一年になりますように。 本年も、どうぞよろしくお願いいたします。

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一年の終わりに、感謝を込めて

一年の終わりに、感謝を込めて

あっという間に、2025年も終わりを迎えようとしています。今年一年、みなさんはどんな時間を過ごされたでしょうか。 私はというと、今年は「人との出会い」にたくさんの気づきをもらった一年でした。 これまでオンラインを通して、日々の暮らしや仕事、旅の途中で出会ったものたちを、文章と写真でお届けしてきました。ものの奥にある背景や、作り手の想いも含めて伝えたい。そんな気持ちで、ひとつひとつに向き合ってきました。 けれど、文字と写真だけでは、どうしても伝えきれないことがあります。たとえば、うつわの手触りや、光の入り方で変わる表情。それをどう感じるかは、人それぞれで、決まった答えがあるわけではありません。だからこそ、実際に手に取り、その人自身の感覚で、自由に愉しんでもらえたら。 そんな想いが、少しずつ強くなり、この秋、神楽坂の家を月に二度だけひらく、オープンデイを始めることにしました。 9月、はじめてオープンデイを開催した日のことは、今もよく覚えています。扉をひらく直前まで、少し落ち着かない気持ちでいたあの緊張感。けれど、足を運んでくださったみなさんと顔を合わせた瞬間、そんな気持ちは自然とほどけていきました。 うつわの盛りつけ方についてお話ししたり、一緒にうつわの表情や組み合わせを選んだり。ときには、神楽坂のすてきなお店を教えていただくこともありました。対面だからこそ会話も自然と広がり、オンラインでは見えていなかったことが、やり取りの中で次々と見えてきます。   11月には香りのブランドLunefの安藤明日生さんをお迎えし、自分だけの香りをつくるワークショップも開催しました。ひとつひとつの香りに静かに向き合い、好みや感覚など自分自身と対話する時間。その場に流れていた穏やかな空気も含めて、とても印象深いひとときでした。 そして12月には、はじめてPOP UPに参加しました。神楽坂を飛び出し、アメノイエをまだ知らない方々と出会う時間。いつもとは違う場所に身を置くことで、気持ちが自然と引き締まるような感覚がありました。 会場には、さまざまなジャンルのお店が集い、にぎやかであたたかな空気が流れていました。そんな場所で、たくさんの方が足を止めてアメノイエを知ってくださったこと。オープンデイでお会いした方が、立ち寄ってくださったこと。ひとつひとつが、うれしく、心に残る時間でした。 こうして振り返ると、いろんな出会いを重ねるたびに、視界が少しずつひらいていった一年でした。来年もまた、実際にお会いできる場を大切にしながら、アメノイエをひらいていきたいと思っています。 この一年、アメノイエに関わってくださったすべての方へ。心からの感謝の気持ちを込めて。どうぞ、よいお年をお迎えください。  

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新しい年のはじまりに、日々の暮らしを整える
キセツ

新しい年のはじまりに、日々の暮らしを整える

暮らしを見つめ直す 早いもので、今年も残りわずかとなりました。 立ち止まって振り返る間もなく、気づけばここまで歩いてきたように思います。カレンダーを眺めて、ああもうこんな時期かと、ようやく実感する、そんな年の瀬です。 この一年、どんな道具と過ごしてきたのか。どんな食卓を囲んできたのか。 年の終わりが近づくにつれて、そんなことに、ふと目が向きます。 新しい年を迎える準備は、日々の暮らしを整えることから始めたい。毎日手にするものや身に着けるものを見直すだけで、日々の暮らしがぐっと心地よくなり、気持ちも自然と満たされていくように感じるのです。   手を入れて、使い続けたい 毎日の料理で使うものは、最初に見直しておきたいですね。中でも、包丁とまな板の使い心地は、台所に立つ時間の満足度を大きく左右するもの。どちらも、神楽坂に引っ越してきたときに新しく迎えたもので、台所に立つ時間を大切にしたいと思い、時間をかけて選びました。 お気に入りだからこそ、きちんとお手入れをしてあげながら、いい状態で使い続けたいと思うのです。   包丁を研ぎ直す 包丁は、福井県越前市の伝統工芸士・戸谷祐次さんのペティナイフと三徳包丁を愛用しています。 見た目や持ち心地のよさはもちろん、何より、刃の入り方がとても気持ちいい。もう1年半ほど使っていますが、今でも使うたびに小さな感動があります。 この切れ心地を保つために、 普段は季節に一度、自分で研ぎ直していますが、年の終わりには「一年お疲れさま」という気持ちも込めて、作り手である戸谷さんにメンテナンスをお願いしたいと思っています。   まな板を削り直す まな板は、woodpeckerさんのいちょうのまな板を使っています。包丁の刃当たりがやさしく、お迎えして本当によかったと感じる存在です。 一年半ほど使うと、表面には細かな傷が刻まれ、色味も少しずつ深くなってきました。自分の暮らしに馴染んできたようで、その変化も愉しんでいます。 削り直せば新品のように生まれ変わるそうですが、わが家のまな板は、もう少しこのままで。使い心地がとてもよいので、少しだけ切りたいとき用に、小さなサイズも迎えたいなと考えています。次は、雲の形もよさそうです。   この先も選び続けたい 手を入れながら長く使えるものもあれば、どんなに気に入っていても、いつか買い替えが必要になるものもあります。買い替えのタイミングが来たときも、迷わず「また、これを」と思えるものに、今年はいくつも出会えました。   大黒屋の八角箸 大黒屋さんのお箸は、そのひとつです。これまでいろいろなお箸を使ってきましたが、大黒屋さんのお箸に出会ってからは、「この先もずっとこれがいい」と思えるようになりました。 まず惹かれたのは、見た目のスタイリッシュさ。細身で無駄のない佇まいに、はじめて目にしたとき、一目ぼれしたのを、今でもはっきりと覚えています。 そして、実際に手に取ったときの持ち心地の良さに驚きました。細身の八角形は、誰の手にもすっとなじむように 計算されてつくられているのだそうで、使うたびに、そのバランスのよさを実感します。...

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土直漆器×アメノイエ「漆のお椀と重箱」
ナカマイリ 旅日記

土直漆器×アメノイエ「漆のお椀と重箱」

はじまりはひとつの光景から 福井県・鯖江の山あいに工房を構える土直漆器さん。ショールームには、お椀やお重をはじめ、数えきれないほどの漆器が所狭しと並んでいます。   ひとつとして同じ柄のない蒔絵のお椀がが連なり、漆の艶がほのかにきらめくその眺めは、今も鮮明に心に残っています。ただ美しいだけではなく、積み重ねられてきた歳月までも映し出すような深さがありました。 その圧巻の光景に触れたとき、土直さんの工芸の力に改めて心を打たれ、「この豊かさをたくさんの人に伝えたい」と強く思ったのです。 そうして、土直さんとともに漆器をつくらせていただくこととなりました。   ”変わらない形”がもつ強さと美しさ お椀には、布袋(ほてい)や羽反(はそり)など、昔から受け継がれてきた伝統の形があります。何百年ものあいだ姿を変えずに残ってきたその形には、先人たちが積み重ねてきた知恵が息づいているのだと思います。   そのなかで、特に惹かれたのが「羽反椀」でした。ふっくらとした丸みに、外側へわずかに広がる口元。持ったときの軽さ、手に沿うやわらかな曲線、そして口に運んだときの飲みやすさまでも想像できる佇まいです。   ふと視線を上げると、そのすぐそばに重箱が並んでいました。羽反椀のやわらかな曲線とは対照的に、まっすぐな線と面が端正な印象を醸し出し、無駄をそぎ落とすことで漆そのものの美しさを際立たせています。 こうした“普遍の美しさ”には、世代を問わず心を動かす力があると感じます。だからこそ、この伝統の形で、永く暮らしに寄り添えるうつわをつくりたいと思いました。   アメノイエの4つの漆器 今回、土直漆器さんに特別に制作いただいたのは4種類。  汁椀、雑煮椀、蓋付き椀、重箱。  お椀は、昔から親しまれてきた羽反りを、重箱は、漆の美しさが引き立つシンプルな形を選んでいます。塗りの表情には特にこだわり、新年の食卓にも日々の暮らしにもなじむよう、土直さんに何度も相談しながら仕立ててもらいました。   汁椀 毎朝の味噌汁に使いたい、汁椀。漆の軽やかな手触りと熱のやさしい伝わり方は、慌ただしい日の朝でも気持ちがやわらぐようです。日常の一杯こそ、いちばん丁寧に味わいたい。そんな思いにそっと寄り添ってくれるお椀です。 ナカマイリ / New 土直漆器×アメノイエ 汁椀 黒 くわしくはこちら →...

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冷水さんに教わる「clay」の新しい表情
ツナガリ

冷水さんに教わる「clay」の新しい表情

私の憧れの人 以前、お仕事の取材を通じて出会った、料理家の冷水希三子さん。生み出す料理、うつわの選び方、そしてスタイリング。そのどれもが素晴らしく、しずるような世界観に引き込まれ、今ではすっかり私の憧れの存在です。しっとりとした佇まいの中にある揺るがない芯に触れるたびに、私もそうありたいと思わせてくれます。 そんな冷水さんに久々に連絡をしたのは、新しく迎えたボウルを使いはじめてしばらく経った頃のことでした。   こちらが、ナカマイリしたボウル「clay(クレイ)」。これまで深さのあるうつわをほとんど持っておらず、「こんな形があったらいいのに」という思いをきっかけに、作山窯さんと一緒に形にしたこうつわです。外側に残した再生土の表情が印象的で、すっと手になじむフォルムもなんともかわいらしいのです。 けれど、いざ自分で使ってみるとどうしても用途が似通ってしまい、お鍋の取皿やスープ、どんぶりが定番に。 特に大きなサイズは盛り付けに迷うことが多く、ふたり暮らしには少し大きいようにも感じて、出番が減っていました。 「clay」には、きっともっと別の表情があるはず…。そう思いながらも、なかなか答えを見つけることができません。そんなとき、ふと冷水さんのことが頭に浮かびました。思い切ってその悩みをメールで相談してみると、ほどなくして返信が。 「では、よければうちで使ってみましょうか。」 ご自宅に招いていただけるなんて、思いもしなかった展開です。 そして約束の日。冷水さんの家に着き、インターホンを目の前に深い息をひとつ。いよいよです。   憧れの台所 家にあがったときの感動は、今でも鮮明に覚えています。誌面で何度も見てきたあの世界が、そのまま目の前に広がっているのです。 なかでも目を奪われたのが台所。数えきれないほどの調味料や料理道具が棚いっぱいに並んでいるのに、雑然とした印象がまったくありません。どれもが“ここが私の居場所だよ”という表情で、ぴたりと収まっているからでしょう。   視線を移すと、書斎やダイニングの横にある棚にはいくつものうつわが重なり合っています。どこもそれぞれ個性的なのに、ひとつの風景のようにまとまっていて、思わず見入ってしまう美しさでした。   ひとしきり部屋を見せていただいたあと、荷物を置き、台所にうつわをそっと並べました。すると冷水さんはひとつを手に取り、外側を指先でゆっくりとなでます。 「外側の土の表情がいいね。内側の釉薬もきれい。黒も強すぎなくて、料理が映えそう。」 こだわった部分をさっそく褒めてもらい、うれしくなりました。再生土の風合いを生かすため、外側には釉薬をかけずに土の質感を残し、内側の色味も何度も調整してきたのです。 続いて、口縁に指を添えながら、角度を変えて眺めていきます。 「これ、手で仕上げてる? 上から見るのと横から見るのとで、ちょっと表情が違って可愛いね。」 丸く成形したあと、職人さんがひとつずつ手を加えて仕上げるこのうつわ。上から見ると、ほんのりと三角に見えるその輪郭が愛らしく、私も特に気に入っているところです。 冷水さんは、まるでうつわと会話しているかのように、その子のチャームポイントを次々と見つけてくれます。しばらくうつわを眺めたあと、こう言いました。 「今日はね、この子たちでふたつシーンを作ろうと思うよ。季節的に鍋は外せないよね。もうひとつは洋食かな。」 こんな機会はきっと二度とないと思い、お言葉に甘えることにしました。   冬色の洋皿を愉しむ 「じゃあ、洋のシーンからいきましょうか。」...

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菊地大護 「クリスマスからお正月へ、年末を彩るうつわ」
キセツ ナカマイリ 旅日記

菊地大護 「クリスマスからお正月へ、年末を彩るうつわ」

冬の気配とともに始まる、特別な時間 冬の澄んだ空気が少しずつ街を包みはじめ、好きな季節がやってきたことを感じる12月。街にはイルミネーションが輝き、クリスマスや年末のイベントの準備で、どこかそわそわと賑やかな気配が広がります。この季節ならではのワクワクとした空気に触れると、心が自然と弾みますね。 こうした冬の始まりに、アメノイエではガラス作家・菊地大護さんの作品をお迎えし、季節の移ろいを感じるひとときをご用意しました。クリスマスやお正月の準備で、うつわの出番がいつもにも増して多くなるこの季節。晴れの日の食卓に、美しい菊地さんのガラスをしつらえていただきたい。そんな思いを込めて今回制作をお願いしました。 きらめくガラスのうつわや酒器が、冬の光と静けさを映し込み、日々の食卓にそっと華やぎを添えてくれる時間を感じていただければ嬉しく思います。 稲刈りの季節に訪れた、新しいアトリエ 10月中旬に、完成したばかりの菊地さんのアトリエを訪れました。秋が深まりきる前、稲刈りが進む田園の中に佇むその空間は、澄み渡る空気に包まれ、どこか未来への静かな期待を感じさせる場所でした。 もともとお米の農家さんが使っていた蔵を、菊地さんがアトリエとして整えたという建物。広々とした空間に高い天井、秋のやわらかな風が抜け、室内に差し込む陽の光が作品の輪郭をやさしく照らしていました。 この日は嬉しいことに、制作風景も見せていただけることに。ガラスづくりは、吹く人と形を整える人のふたりで行うイメージがありましたが、菊地さんはおひとりで、驚くほど軽やかにこなしていきます。窯から出したばかりのガラスに向き合い、道具を使って形を定めていく姿は美しく、とても印象的でした。 ガラスがまだ熱を帯びているうちに光を透かして輝く瞬間や、金属の道具が触れたときの“カツッ”という澄んだ音、息づかいに合わせてゆらめく色のグラデーション。その光と音、そして手元の細かな動きに引き込まれ、気づけば呼吸まで自然と菊地さんのリズムに合わせるように見入っていました。 菊地さんのガラスといえば、上品でやわらかなピンク色が特徴です。この色は、ガラスを琥珀色に仕上げる“アンバー”という原料を使い、薄く吹き上げることでふわりとピンクに見えるのだとか。まさかアンバーからピンクが生まれるとは思いもよらず、ガラスの奥深さに驚かされました。 気さくでお話し上手な菊地さんは、私のリクエストにも快く応じてくださり、見たい作品を次々とその場で形にしてくださいます。 手仕事の丁寧さ 日々愛用している片口。その切れのよさは、注ぐときのストレスがなく、料理やお酒を楽しむ時間をより心地よいものにしてくれます。 仕上げの要となる口の部分は、道具を使って一気に形づくられ、その一瞬の研ぎ澄まされた集中に思わず見入ってしまいました。 口元を仕上げたあと、底につけられたガラスを外し、作品は窯の中でゆっくりと時間をかけて冷まされていきます。成形後のガラスを丁寧に冷やすことで、急激な温度変化による割れを防ぐのだそうです。 流れるように続く菊地さんの動きと、ひとつひとつの工程を確かめるように進める丁寧な手仕事。その調和の美しさに見入っていると、いつの間にか時間が経つのを忘れてしまいます。躍動感のある制作の光景に触れながら、終始心が弾むようなひとときを過ごしました。 どの作品をお迎えするか、アトリエのテーブルをお借りしてゆっくり見比べてみることにしました。どれも素敵で迷っていると、菊地さんが庭に咲く白い百合をさっと摘み、細いガラス瓶に生けてくださいました。白百合が添えられたことで、テーブルの上のガラスが陽の光を受けていっそう澄んだ輪郭を見せ、静かな輝きがふわりと広がります。 その透明な重なりを眺めながら、じっくりと作品を選ぶ時間を楽しみました。 そんな居心地のよいアトリエは、差し込む光ややわらかな秋風に包まれ、つい長居してしまうほどでした。菊地さん、素敵なアトリエを見学させていただき、ありがとうございました。 ガラスが映す、冬の光と季節のしつらえ クリスマスの温かい団欒から、年末のご馳走、新年の凛とした食卓まで、冬のさまざまな場面を彩るガラスの作品たち。 普段は涼やかな季節に使うことが多いガラスですが、抜け感のあるうつわは冬の光を受けることで表情を変え、軽やかで美しく、どこか洗練された雰囲気を運んでくれます。 年越しには酒器をしつらえて。お酒をいただく時間が、いつもより少し特別に感じられそうです。どの作品にも、菊地さんのガラスが持つやわらかな存在感と、手仕事のやさしさが宿っています。 アメノイエで、その透明な世界をぜひお楽しみください。皆さまのお越しを心よりお待ちしております。 オープンデイのご予約はこちら

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Lunef × アメノイエ -オリジナルフレグランス-
ナカマイリ 旅日記

Lunef × アメノイエ -オリジナルフレグランス-

香りづくりのはじまり 今日は、待ちに待った “自分だけのフレグランス” をつくる日。香りのブランド Lunef(リュネ)の調香師、安藤明日生(あすみ)さんが、わが家に来てくれました。友人の紹介でLunefと出逢い、その静かな世界観に惹かれて、はや半年。「いつか一緒に香りをつくりたい」という思いを明日生さんに伝えてみると、迷いなく応えてくださり、こうして今日を迎えることに。 白がよく似合う方で、この日も白いワンピースが柔らかな存在感を放っています。その凛とした佇まいに見惚れているやいなや、明日生さんは手際よく準備をはじめます。何種類もの白い布をつなぎ合わせた素敵なパッチワークのクロスをふわりと広げ、その上に小さな精油瓶をひとつ、またひとつと並べていく。さらに、細長い試香紙に精油を一滴ずつ落としていき、黒いプレートの上に円を描くように配置していく。その一連の流れは、SNSで見てきたあの光景そのままで、なんだか胸が高鳴りました。 やがて準備が整い、紙とペンが手渡されます。テーブルに並ぶのは、番号だけが記された白い紙。 「まずは、好きな香りと出会ってくださいね」と明日生さんが言います。 普段なら、精油の名前や効能に意識が向いてしまいがちですが、あえて情報を伏せることで、先入観ではなく純粋な好みと向き合ってほしいという明日生さんの意図が伝わり、私の意識も香りそのものへと向いていきました。   香りと向き合うひととき さて、21枚の芳香紙を順番に香っていきます。8番目あたりまで試していくと、気になるものがいくつも出てきて、少し迷ってしまいます。すると明日生さんが、「いくつ選んでも大丈夫ですよ」と声をかけてくれました。そのやわらかな笑顔に安心して、また次の香りへと手を伸ばします。 ただ香りだけに集中する時間が、黙々と過ぎていきます。鼻先に届く瞬間の印象、奥に残る静かな余韻。そのひとつひとつを確かめていると、全神経が嗅覚へ集まっていくようで、普段では味わえない感覚に包まれました。 すべて試し終えると、明日生さんがひと言。「紡さんは、ウッディなものがお好きなのですね。」 私が選んだ多くが、森を思わせる精油だったようです。自然が好きだからなのか、都会の暮らしの中で、知らないうちに森のような静けさを求めているからなのか。 ふっと内側を見透かされたようで、少し照れくさくなりました。   ついにかたちになるとき 選んだ精油を一滴ずつ重ね合わせていくと、単体では見えなかった陰影が浮かび上がってきます。 すっと通るような森の空気。土の渋み。奥に潜む甘さ。精油を重ねるごとに変化していく様子は、まるで目の前でひとつの物語がひらいていくようでとてもおもしろい。 けれど、「好き」を重ねただけでは、どこか惜しいのです。そんな私の中の小さな違和感を、明日生さんは言葉にしなくても察し、数滴の調整でさっと整えてしまいます。すると、すっかりその違和感は消え、複雑でありながらひとつにまとまった香りになりました。 こうして、ベースが完成です。ここからは鎌倉のアトリエで仕上げてもらうことになり、この日の作業はいったん終了。 あとは、完成の知らせを待つばかりです。   鎌倉を訪ねる 仕上がったと連絡をいただいたのは、それから数日後のことでした。 郵送で受け取ることもできましたが、明日生さんがどんな環境でアロマと向き合っているのかを自分の目で見てみたくなり、鎌倉へ向かうことにしました。 待ち合わせは、明日生さんのお気に入りのお散歩コースでもある、自然に包まれた場所。この日はよく晴れていて、まさに絶好のお散歩日和です。鎌倉駅周辺は観光客で賑わっていましたが、待ち合わせ場所へ向かう小道へ入ると景色がふっと変わります。ひと気のないその一角には、ひんやりと澄んだ空気が満ちていて、鳥たちがさえずりながら迎えてくれました。風が通ると、落ち葉がさらさらと降ってきます。見上げると、その量に思わず息をのみました。きっと、紅葉の時期ならではの光景なのでしょう。まるで“葉っぱの雨”のように降りそそぐその瞬間は、なんとも幻想的。そして、木漏れ日が差し込むたびに、景色はそっと表情を変えていきます。 その移ろいがあまりにも美しくて、気づけば夢中でシャッターを切っていました。  ...

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