8役こなす、多機能無水鍋

8役こなす、多機能無水鍋

簡単こそ一番の贅沢

この前の休日、神楽坂は久しぶりの雨。
遅めに目を覚ますと、雪とも霙ともつかない曖昧な空模様。
窓の外をしばらく眺め、静かに響く雨音に耳を澄ませているうちに、自然と心は家でのんびり過ごす気分になっていきました。

以前スーパーで新ジャガイモと新玉ねぎを見かけ、思わず買い物かごに入れたことを思い出し、せっかくなので、今日はこの食材たちを食卓に。

ちょうど最近購入した無水鍋を開封するいい機会だとおもい、早速お昼ご飯の準備に取り掛かりました。

ひとつで8役

広島アルミニウム工業株式会社が手がけるこちらの無水鍋は、1953年に炊飯用として開発され、現代の生活様式に合わせIHにも対応して復刻されたものです。

サイズは、内径18cm、20cm、24cmの3種類。
私は、4合までのお米が炊ける20cmのものを使用していて、二人暮らしには十分な大きさです。
「ガスやIHでも羽釜のように美味しいごはんを炊けるように」という想いと、「無水調理で素材のうまみを引き出した料理を味わい、健やかに過ごしてほしい」という願いから生まれたそうです。

日本や世界中の有名自動車メーカーのパーツを手がける確かな技術力をもつ広島アルミニウム工業の職人たちの精緻なものづくりは、蓋を閉める時に改めて実感します。

しかもこれ一つで、「炊く・蒸す・煮る・茹でる・焼く・炒める・揚げる・天火」の8役をこなす優れもの。
軽くて丈夫なシンプルなつくりも魅力的で、新しい道具を手にすると、やはり気分が高まります。
また、無水鍋はアルミ製で熱伝導が早く、鋳物の厚い作りが蓄熱性に優れ、余熱を使った調理が可能。
余熱をうまく活用することでガスや電気の節約にも繋がり、これから大いに活躍しそうです。


使い初めに

最初は中性洗剤をつけたスポンジでよく洗い、内面は硬めのスポンジで溝に沿って特に念入りに。
そして変色を防ぐために、鍋と蓋の両方に米のとぎ汁を入れ10分ほど沸騰させます。


肉じゃがは蒸すように煮て、うまみを凝縮

一品目は、春の味覚を存分に堪能できる、シンプルな味付けで食材本来の美味しさが引き立つ栄養満点な肉じゃがを。

まず、食材がくっつかないように、中火弱で約2分予熱します。
手につけた水を鍋に振り入れ、玉になって転がるくらいが具材を入れる適温とのことです。

レシピは、月ごとに新しいレシピが更新される、「HALムスイ」のHPに公開されているものを参考にしました。
具材を入れて放っておくだけという簡単さと、何より短時間でしっとり仕上がり、味がしっかりしみ込んでいくことに驚きました。
鍋の中で循環する蒸気によって食材にじっくりと火が通り、水に溶けやすい旨味を逃がさず持ち味を存分に楽しめるのは、無水鍋ならではの魅力ですね。

羽釜がルーツの無水鍋で炊くタコ飯

寒い日が続いているので、肉じゃがのお供に生姜をたっぷり使ったタコ飯を作りました。 
こちらも無水鍋で調理。
中火強で火をつけてから蓋がカタカタと音を立てると沸騰のサインとなり、すぐに弱火にするだけなので、簡単に挑戦できました。

鍋と蓋がぴったりと合う構造により、弱火でも自然に圧力がかかることでムラなく火が通り、熱を逃がさず高温を保ってくれます。
お米を炊くために開発されただけあって、いつものお米がよりふっくらともちもちに。
蓋を開けるとしっかりとお米が立っていて、食欲をそそられます。

最後に自家製味噌を使ったお味噌汁を合わせて、小さなご馳走が完成。
ほとんど食材を切っただけで、後は鍋と食材に頼るだけで、まるでもてなされているような食卓ができあがりました。
旬の春野菜の味や炊き込みご飯の香りに、思わずうっとり。

小腹を満たす野菜のステーキを

夕方になり、小腹がすいてきたので蓮根と大根のステーキをつくることに。
無水鍋の蓋はフライパンのように使うことも出来ますよ。
今回はさらに鍋部分を蓋として使ってみたところ、野菜が適度に蒸されることで焦げることもなく、
ちょうど良い焼き加減で柔らかくジューシーな仕上がりとなりました。

この鍋一つで色々な調理が完結され、無駄のないデザインに、使用後のお手入れも簡単で助かりました。

啓蟄は、整える節目に

忙しい日もスピーディーに調理ができるので、バタバタの朝にも使えそう。
料理は手をかけるほど美味しくなると思っていましたが、使う道具を一工夫するだけで、料理の出来が格段に変わるのだと実感しました。
先日はせいろを一緒に使ってみたので、次回紹介させてください。

季節の変わり目であるこの時期は二十四節気で啓蟄と言い、休息の時間をたっぷりとると良いそうです。
雨の日のひとり時間は、心地の良い雨音が騒音もかき消してくれるので、自分自身に集中することができます。
身体に取り入れるものはなるべく温かく、冬の余韻を感じながら、春の訪れに向けて準備を整えましょう。