ヒビノコト

「アメノイエの住人」雨野紡が日々の暮らしを綴る日記です。
家の中での過ごし方や産地での出会いをこちらでご紹介します。

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涼を呼ぶガラスのうつわたち
キセツ チャノマ

涼を呼ぶガラスのうつわたち

初夏の光をガラスとともに  5月も終わりに近づき、日ごとに夏めいてきました。陽射しが強くなるこの季節、手に取りたくなるのがガラスのうつわたちです。 光を受けてきらりと揺れる姿や、冷たい飲み物を注いだときの涼やかな表情。ガラスのうつわには、暑さを心地よさへと変えてくれるような魅力があります。 最近は、食卓を見渡すとガラスのものが増えてきたように思います。わが家にも、一足早く夏が訪れているようです。   朝の光が似合う小さなボウル   ヨーグルトにグラノーラをかけたり、サラダをさっと盛り付けたり。 そんなごく簡単なメニューでも、木村硝子店さんの「サンサボウル」に盛るだけで、いつもの食卓の空気がすっと涼やかに整うのです。 落ち着いたスモークグレーのうつわを朝の光にかざしてみると、ガラスの中に浮かぶ無数の小さな気泡が光を宿して、きらきらと瞬きます。 澄み切った透明なガラスとは少し違う、やわらかな風合い。そんな独特の質感と、この丸みのあるぽってりとした形のおかげでしょうか。ガラスなのにどこか温かみがあって、かしこまらずに普段使いできるところが気に入っています。   夕暮れのワインと「キソ」 18時を過ぎても外はまだ明るい。 こんな明るいうちに飲む、冷えたワインは格別です。 一日の長さは同じはずなのに、なんだかいつもより長く満喫できているような感覚になるのは私だけでしょうか。 そんな穏やかな夕暮れ時に寄り添ってくれるのが、木村硝子店さんの「キソ」。 本格的なハンドメイドのワイングラスでありながら、気取りすぎていないところがお気に入りです。 ステムが長すぎず安定感があるので、気負わずに使えるのが嬉しいところ。 それでいて、極限まで薄く作られたガラスは華奢で凛としていて、夕方の光に透ける姿まで美しい。  張りきって料理をした日だけでなく、簡単な夕飯のときも、このグラスがあるだけで十分満たされた気分になれるのです。 極薄の口当たりはとても心地よく、贅沢な余韻を残してくれます。   光を通して表情を変える「tatesuji」 菊地大護さんの「tatesuji」は、うつわとしてはもちろん、オブジェのような佇まいもまた素敵です。細い縦筋に沿って光が揺れて、テーブルの上に美しい影を落とします。 このうつわをわが家に迎えたのは、まだ空気の冷たい冬のころでした。冬の澄んだ光の中では、静かで凛とした印象があったのですが、初夏になった今見ると、また少し違って見えます。強くなった陽射しを受けて、ガラスがきらきらと光を通している姿。同じうつわなのに、季節によってこんなにも表情が変わるんだな、と最近また手に取ることが増えたように思います。   以前、菊地さんの工房で制作の様子を見せていただいたときのこと。 オレンジ色に熔けた熱いガラスが、型の中で息を吹き込まれることで、あの美しい縦筋の模様が写し取られていく。その光景は、今も心に焼き付いています。 菊地さんの息遣いや工房の熱気を肌で知ってから、このうつわがより愛おしく思えるようになりました。 涼しげなガラスの奥に、どこかじんわりとした温度を感じる理由は、きっとあの場所の空気を知っているからなのだと思います。 ...

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カゴがよく似合う季節になりました
キセツ

カゴがよく似合う季節になりました

私のオキニイリのカゴ 春はもうすぐそこまで来ているようです。窓から入る風にもどこか軽やかな気配が混じりはじめました。 厚手のブランケットや毛布もそろそろしまおうかと思いながらも、まだ朝晩は冷えて少し悩ましいこの頃。それでも、洋服も家の中も、少しずつ春仕様に整えていきたくなる季節です。 暖かくなってくると、なぜだかカゴを手に取りたくなります。もともとカゴが大好きで、気づけば家のあちこちに置いてあります。キッチンやリビングの棚、そして玄関の片隅にも。いったい何個持っているのか、自分でも分からなくなるくらい、いつの間にか増えてしまいました。それでも不思議と、同じ表情のものはひとつもなく、編み方や素材、形が少し変わるだけで、それぞれに違う空気をまとっています。 今日は、その中でも特にお気に入りのカゴをご紹介したいと思います。   部屋でも外でも、頼れるバスケット 普段は、リネン類を整えたり、お茶セットをまとめたり。 部屋の収納として活躍してくれているのが、南風工藝のバスケットです。 竹の凛とした質感は、散らかりがちな日用品もすっきりと見せてくれるのでとても気に入っています。   蓋なしのタイプもありますが、私はピクニックが好きなので、外へ持ち出すことも考えて蓋付きのものを選びました。 おやつや飲みものをパパっと詰め込むだけで、気軽にピクニックの準備が整います。   竹の盛篭 こちらは南風工藝の盛篭。 同じ竹でも、形や編み方が変わるだけで、こんなにも雰囲気が変わるのが面白いところです。 底から縁にかけて交差しながら広がる網目は、どこか軽やかで、やさしい表情。整然とした編み目からは職人の丁寧な手仕事が静かに伝わってきます。 果物を入れたり、お煎餅の袋を置いておいたり。この美しい竹の編み目が、何を入れても整って見せてくれるのです。   おむすびを、一番おいしい状態で 「おにぎり入」という名前がまさにぴったりな、この小さなカゴ。 竹は通気性があり蒸れにくいので、おにぎりがべたつきにくく、ピクニックでお弁当を持っていくときにはバスケットとセットで登場します。   散らばりがちな文房具などの小物入れとしてもちょうどよく、何個もほしくなってしまうサイズ感です。   飴色に育てていく、あけびのカゴ 大好きなあけびのカゴは、気づけば大中小すべてのサイズを揃えてしまいました。 あけびは、使ううちに手の油や空気に触れて、だんだん深い飴色に変わっていく素材です。 型崩れしにくくて水にも強いので、気負わず使えるのが魅力。まさに「育てていく道具」という感じで、数年後の色艶が今から楽しみです。...

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漆で愉しむ、桃の節句。
キセツ チャノマ

漆で愉しむ、桃の節句。

桃の花に、せかされて あっという間に二月も終わろうとしています。仕事帰りにふらりと立ち寄った駅前の花屋には、まだ冷たい風のなか、春の枝ものがずらりと並んでいました。中でも目を引いたのは、鮮やかなピンク色の桃の花。まだ冬の気配が残る景色の中で、季節が静かに動き出していることを教えてくれるようでした。 ちょうど見頃を迎えた華やかな枝に惹かれつつも、手にとったのはまだ蕾の多いもの。家のなかで少しずつほころんでいく様子を眺めたかったからです。 「桃の節句」は、もともと季節の変わり目に邪気を払う行事なのだとか。子どもの成長を祝うイメージが強いですが、大人になった今でも、自分のために季節の節目を整える日として大切にしたいなと思うのです。 節句は来週ですが、当日は仕事の予定。 ゆっくり食卓を整える時間が取れそうになかったので、今年は少し早めに楽しむことにしました。   暮らしに馴染んできた、漆器たち せっかくの節句なので、今日はお気に入りの漆のうつわで食卓を彩りたいと思います。キッチンの奥の棚から取り出したのは、お正月以来となるお重と漆器椀。蓋をそっと開けると、ほのかに漆の香りが立ち上ります。迎えたばかりの頃のツンとした漆の香りはすっかりやわらいでいました。そんな些細な変化に、道具がわが家の暮らしに馴染み始めている実感が湧いて、なんだか嬉しくなります。 少し小さいかなと思っていた15cm角のお重も、ふたり暮らしには本当に使いやすく、特別な日には欠かせない存在になりました。 今回は、春の華やかな色味をどのように受け止めて、そしてどう映えさせてくれるのか。黒漆のなかに広がる景色を想像するだけで、わくわくしてきます。   黒いお重に映える、ちらし寿司 メインは、やっぱりちらし寿司。 マグロ、サーモン、鯛、いくら、きゅうり、玉子。 食材の色のバランスを確認しながら均等なサイズに揃えていきます。 ちらし寿司は、盛り付けのバランスがすべて。仕切りのない自由なお重の空間に、どう彩りを配置していくか。それは、真っさらなキャンバスに絵を描く作業によく似ています。 微調整しながら、四角い枠の中に少しずつ春を埋めていきます。 吸い込まれるような黒漆の地色は、昼の光の下で食材の色彩を驚くほど鮮明に浮かび上がらせてくれ、まるで宝石箱のようです。黒という色は、一見重厚ですが、最高の「引き立て役」なのだと改めて思います。   はまぐりと菜の花のお吸い物 お重の隣には、はまぐりのお吸い物を添えました。 少し早いこともありお店に並んでいるか不安でしたが、いつものスーパーを覗くと、立派なはまぐりを見つけて迷わずかごに入れたものです。   味付けはシンプルに。昆布とはまぐりから出る出汁に、お酒とお塩をひとつまみだけ。火にかけてしばらくすると「パカッ」と元気な音を立てて殻が開き、ふわりと磯の香りが立ち上ります。 ここに菜の花も加え、やさしいながらも深みのある味わいは、調味料では表現できない、まさに春の一杯です。   少し残った菜の花はお浸しにしていただきます。今回の菜の花はとても新鮮だったようで、苦みが驚くほど少なく、瑞々しさが際立っていました。   季節の移ろいを愉しむ、お茶の時間 食後は、お気に入りの急須でお茶を淹れ、お重のもう一段に忍ばせておいた春の和菓子を堪能しました。あたたかいお茶とたわいもない話でゆったりと過ごす、心ほどけるような午後の時間。...

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大寒に仕込む、粗つぶし味噌
キセツ ダイドコロ

大寒に仕込む、粗つぶし味噌

一年で最も寒い「大寒」の日。今年はフードプロセッサーを使わず、すり鉢で「粗つぶし味噌」を仕込みました。大豆の感触を楽しみながら、じっくりと時間をかける冬の手仕事。半年後の解禁を夢見て育てる、味噌づくりの備忘録です。

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健やかな一年を願う七草粥
キセツ ダイドコロ チャノマ

健やかな一年を願う七草粥

日常へ戻る合図 お正月の賑わいがひと段落し、 家の中にも「いつもの時間」が戻ってくる頃。一月七日の朝は、七草粥を炊くことから始まります。 無病息災を願う、年はじめの習わし。ご馳走続きで少し重たくなっていた身体を休め、これから始まる一年を健やかに過ごすための、大切な区切りです。 どこか浮き足立っていた気持ちが、七草粥と向き合ううちに、少しずつ地に戻っていく。 背筋をしゃんと伸ばし、あらためて年の始まりに立つような朝です。   知ることで深まる冬の滋味 せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ。 名前はようやく覚えましたが、意外と見分けが難しくて。「これは……なずな、かな?」そんなやり取りを、毎年パートナーと交わしている気がします。 どれがどの葉もので、どんな効能があるのか。 シンプルな料理だからこそ、ひとつひとつの意味をきちんと理解してからいただきたい。パッケージのイラストと照らし合わせたり、ネットで検索してみたり。 ちゃんと「知る」というひと手間を経てから口にすることで、七草粥はただの習慣ではなく、自分の中にしっくりと残る一膳になる気がするのです。   お粥を炊く お粥を炊く日は、自然とカネダイの行平鍋に手が伸びます。二人分がちょうどよく収まるサイズ感で、熱をじんわり通すその性質も、お粥を炊くのにぴったり。 昆布で出汁をとり、お米を入れて火にかけます。 強く沸かさず、鍋の中の音に耳を澄ませながら、その間に七草の下ごしらえをします。   ほどなくしてお粥が炊き上がったら、火を止め、下茹でして刻んだ七草と、ひとつまみの塩を加え、やさしく混ぜ合わせたら完成です。   今年も健やかに過ごせますように あたたかいうちにいただきます。一口食べるたびに、温かさが身体中にじんわりと広がり、自然と気持ちもほぐれていきます。賑やかな食卓が続いていた今の身体には、この素朴でやさしい味わいが、一番の贅沢に感じられますね。  みなさんは、もう七草粥を召し上がりましたか。 旬の食材の力を借りながら、心と身体の調子をゆっくり整えていきたいですね。

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新しい年のはじまりに、日々の暮らしを整える
キセツ

新しい年のはじまりに、日々の暮らしを整える

暮らしを見つめ直す 早いもので、今年も残りわずかとなりました。 立ち止まって振り返る間もなく、気づけばここまで歩いてきたように思います。カレンダーを眺めて、ああもうこんな時期かと、ようやく実感する、そんな年の瀬です。 この一年、どんな道具と過ごしてきたのか。どんな食卓を囲んできたのか。 年の終わりが近づくにつれて、そんなことに、ふと目が向きます。 新しい年を迎える準備は、日々の暮らしを整えることから始めたい。毎日手にするものや身に着けるものを見直すだけで、日々の暮らしがぐっと心地よくなり、気持ちも自然と満たされていくように感じるのです。   手を入れて、使い続けたい 毎日の料理で使うものは、最初に見直しておきたいですね。中でも、包丁とまな板の使い心地は、台所に立つ時間の満足度を大きく左右するもの。どちらも、神楽坂に引っ越してきたときに新しく迎えたもので、台所に立つ時間を大切にしたいと思い、時間をかけて選びました。 お気に入りだからこそ、きちんとお手入れをしてあげながら、いい状態で使い続けたいと思うのです。   包丁を研ぎ直す 包丁は、福井県越前市の伝統工芸士・戸谷祐次さんのペティナイフと三徳包丁を愛用しています。 見た目や持ち心地のよさはもちろん、何より、刃の入り方がとても気持ちいい。もう1年半ほど使っていますが、今でも使うたびに小さな感動があります。 この切れ心地を保つために、 普段は季節に一度、自分で研ぎ直していますが、年の終わりには「一年お疲れさま」という気持ちも込めて、作り手である戸谷さんにメンテナンスをお願いしたいと思っています。   まな板を削り直す まな板は、woodpeckerさんのいちょうのまな板を使っています。包丁の刃当たりがやさしく、お迎えして本当によかったと感じる存在です。 一年半ほど使うと、表面には細かな傷が刻まれ、色味も少しずつ深くなってきました。自分の暮らしに馴染んできたようで、その変化も愉しんでいます。 削り直せば新品のように生まれ変わるそうですが、わが家のまな板は、もう少しこのままで。使い心地がとてもよいので、少しだけ切りたいとき用に、小さなサイズも迎えたいなと考えています。次は、雲の形もよさそうです。   この先も選び続けたい 手を入れながら長く使えるものもあれば、どんなに気に入っていても、いつか買い替えが必要になるものもあります。買い替えのタイミングが来たときも、迷わず「また、これを」と思えるものに、今年はいくつも出会えました。   大黒屋の八角箸 大黒屋さんのお箸は、そのひとつです。これまでいろいろなお箸を使ってきましたが、大黒屋さんのお箸に出会ってからは、「この先もずっとこれがいい」と思えるようになりました。 まず惹かれたのは、見た目のスタイリッシュさ。細身で無駄のない佇まいに、はじめて目にしたとき、一目ぼれしたのを、今でもはっきりと覚えています。 そして、実際に手に取ったときの持ち心地の良さに驚きました。細身の八角形は、誰の手にもすっとなじむように 計算されてつくられているのだそうで、使うたびに、そのバランスのよさを実感します。...

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菊地大護 「クリスマスからお正月へ、年末を彩るうつわ」
キセツ ナカマイリ 旅日記

菊地大護 「クリスマスからお正月へ、年末を彩るうつわ」

冬の気配とともに始まる、特別な時間 冬の澄んだ空気が少しずつ街を包みはじめ、好きな季節がやってきたことを感じる12月。街にはイルミネーションが輝き、クリスマスや年末のイベントの準備で、どこかそわそわと賑やかな気配が広がります。この季節ならではのワクワクとした空気に触れると、心が自然と弾みますね。 こうした冬の始まりに、アメノイエではガラス作家・菊地大護さんの作品をお迎えし、季節の移ろいを感じるひとときをご用意しました。クリスマスやお正月の準備で、うつわの出番がいつもにも増して多くなるこの季節。晴れの日の食卓に、美しい菊地さんのガラスをしつらえていただきたい。そんな思いを込めて今回制作をお願いしました。 きらめくガラスのうつわや酒器が、冬の光と静けさを映し込み、日々の食卓にそっと華やぎを添えてくれる時間を感じていただければ嬉しく思います。 稲刈りの季節に訪れた、新しいアトリエ 10月中旬に、完成したばかりの菊地さんのアトリエを訪れました。秋が深まりきる前、稲刈りが進む田園の中に佇むその空間は、澄み渡る空気に包まれ、どこか未来への静かな期待を感じさせる場所でした。 もともとお米の農家さんが使っていた蔵を、菊地さんがアトリエとして整えたという建物。広々とした空間に高い天井、秋のやわらかな風が抜け、室内に差し込む陽の光が作品の輪郭をやさしく照らしていました。 この日は嬉しいことに、制作風景も見せていただけることに。ガラスづくりは、吹く人と形を整える人のふたりで行うイメージがありましたが、菊地さんはおひとりで、驚くほど軽やかにこなしていきます。窯から出したばかりのガラスに向き合い、道具を使って形を定めていく姿は美しく、とても印象的でした。 ガラスがまだ熱を帯びているうちに光を透かして輝く瞬間や、金属の道具が触れたときの“カツッ”という澄んだ音、息づかいに合わせてゆらめく色のグラデーション。その光と音、そして手元の細かな動きに引き込まれ、気づけば呼吸まで自然と菊地さんのリズムに合わせるように見入っていました。 菊地さんのガラスといえば、上品でやわらかなピンク色が特徴です。この色は、ガラスを琥珀色に仕上げる“アンバー”という原料を使い、薄く吹き上げることでふわりとピンクに見えるのだとか。まさかアンバーからピンクが生まれるとは思いもよらず、ガラスの奥深さに驚かされました。 気さくでお話し上手な菊地さんは、私のリクエストにも快く応じてくださり、見たい作品を次々とその場で形にしてくださいます。 手仕事の丁寧さ 日々愛用している片口。その切れのよさは、注ぐときのストレスがなく、料理やお酒を楽しむ時間をより心地よいものにしてくれます。 仕上げの要となる口の部分は、道具を使って一気に形づくられ、その一瞬の研ぎ澄まされた集中に思わず見入ってしまいました。 口元を仕上げたあと、底につけられたガラスを外し、作品は窯の中でゆっくりと時間をかけて冷まされていきます。成形後のガラスを丁寧に冷やすことで、急激な温度変化による割れを防ぐのだそうです。 流れるように続く菊地さんの動きと、ひとつひとつの工程を確かめるように進める丁寧な手仕事。その調和の美しさに見入っていると、いつの間にか時間が経つのを忘れてしまいます。躍動感のある制作の光景に触れながら、終始心が弾むようなひとときを過ごしました。 どの作品をお迎えするか、アトリエのテーブルをお借りしてゆっくり見比べてみることにしました。どれも素敵で迷っていると、菊地さんが庭に咲く白い百合をさっと摘み、細いガラス瓶に生けてくださいました。白百合が添えられたことで、テーブルの上のガラスが陽の光を受けていっそう澄んだ輪郭を見せ、静かな輝きがふわりと広がります。 その透明な重なりを眺めながら、じっくりと作品を選ぶ時間を楽しみました。 そんな居心地のよいアトリエは、差し込む光ややわらかな秋風に包まれ、つい長居してしまうほどでした。菊地さん、素敵なアトリエを見学させていただき、ありがとうございました。 ガラスが映す、冬の光と季節のしつらえ クリスマスの温かい団欒から、年末のご馳走、新年の凛とした食卓まで、冬のさまざまな場面を彩るガラスの作品たち。 普段は涼やかな季節に使うことが多いガラスですが、抜け感のあるうつわは冬の光を受けることで表情を変え、軽やかで美しく、どこか洗練された雰囲気を運んでくれます。 年越しには酒器をしつらえて。お酒をいただく時間が、いつもより少し特別に感じられそうです。どの作品にも、菊地さんのガラスが持つやわらかな存在感と、手仕事のやさしさが宿っています。 アメノイエで、その透明な世界をぜひお楽しみください。皆さまのお越しを心よりお待ちしております。 オープンデイのご予約はこちら

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気心知れた友と囲む、冬のごちそう
キセツ ダイドコロ チャノマ

気心知れた友と囲む、冬のごちそう

 旧友と会う約束をした日のこと ある日の午後、電話が鳴りました。画面に映った名前を見た瞬間、胸が高鳴ります。学生時代の友人からでした。出張で東京に来るとのことで、久しぶりに会う約束をすることに。 彼女と会うのは、いったい何年ぶりでしょう。せっかくなら、わが家でゆっくり話したい。そう思い、家に招いておもてなしをすることにしました。気づけば、もうすぐクリスマス。ちょうどいい機会なので、テーブルもほんの少し季節感を出して、ちょっと早いクリスマスパーティーにしようと思います。 そうと決まったら、まずはテーブルコーディネートを考えるところから。つい最近新調した白いリネンのテーブルクロスを広げると、部屋の空気がふわっと明るくなりました。棚からうつわを取り出し、テーブルの上で並べてみると、fogやmaraisのうつわたちもいつもとは違う表情に見えて新鮮です。 「この組み合わせはどうだろう」「いや、こっちのほうが合うかも」あれこれ相手の顔を思い浮かべながら考えている時間は、心がぽかぽかとして幸せな気持ちになれますね。あとは、何を作ろうか。そこがいちばん悩ましいところです。   フライパンで作る魚介のパエリア メインは魚介にしようと決めていました。彼女は昔から、お肉よりも断然シーフード派。お魚はもちろん、エビや貝類が好きだったことをよく覚えています。 そこで、ずっと試してみたかったパエリアに挑戦することにしました。きっとたくさん食べるだろうと、思い切ってお米は2合。普段から愛用しているやまごの鉄フライパンで早速調理に取り掛かります。専用の蓋は持っていなかったのですが、KING無水鍋20cmの蓋がまさかのシンデレラフィットで、その収まりの良さについひとりで笑ってしまいました。火を入れていくと、魚介の香りがゆっくりと部屋に広がっていきます。 2人で2合はさすがに多かったものの、22cmの鉄フライパンでも問題なくきれいに炊き上がりました。次は1.5合くらいがちょうどよさそうです。   冬を感じるスズキのカルパッチョ もう一皿は、お魚で軽やかにまとめたい。そうなると、やはりカルパッチョでしょうか。 そのとき、ふと鎌倉で見かけた金柑の木の記憶がよみがえりました。冬の光を受けてつややかに輝いている実を眺めながら、「金柑のスライスをのせたカルパッチョを作ってみたい」と思いつつも、まだ試せずにいたのでした。 八百屋さんをのぞいてみると、ちょうど金柑が並びはじめたところで、まだ小ぶりながら張りのある実が並んでいます。迷わず手に取って、家に連れて帰りました。家で切ってみると、やはり出始めだからかワタは少し多め。ですが、ひと切れ味見すると苦みはほとんどなく、甘みと香りがふわっと立ちます。ワタのやわらかな食感もよく、カルパッチョの良いアクセントになってくれそうで、嬉しくなりました。 合わせる魚は旬のスズキ。身がきゅっと締まり、透き通るような白さが冬らしくて美しいです。 薄くスライスした金柑を重ね、オリーブオイルをたっぷりまわしかけ、粗挽きソルトをひとふり。仕上げに紫スプラウトを添えると、「冬を感じるカルパッチョ」の完成です。 盛りつけには、fogのホワイトプレートを選びました。淡い白のうつわの上で、金柑のオレンジとスズキの透明感がより一層引き立ち、冬のテーブルに馴染む一皿になりました。   絶対に外せないマッシュルームとパクチーのサラダ  これは、私がずっと好きで作り続けているマッシュルームとパクチーのサラダ。 スライスしたマッシュルームに、ざくざくと刻んだパクチーを合わせるだけのとてもシンプルな一品ですが、パクチー好きの私には最高の組み合わせで、ひたすら食べ続けられるほど。ドレッシングは、バルサミコ・醤油・オリーブオイル・にんにく・塩を混ぜたものを用意しました。仕上げに削ったチーズをかければ完成です。   少し多めに作ったドレッシングで、冷蔵庫に残っていた食べごろのアボカドも和えてみました。とろりと絡んだアボカドは、同じドレッシングとは思えない仕上がりに。   紫キャベツのマリネ 箸休めには、紫キャベツのマリネを選びました。先日のランチで、ワンプレートの端にそっと添えられていたもので、その鮮やかな紫色と、あと口のさっぱりした味わいが心に残っていて、いつか家でも作ってみたいと思っていたのです。 味の記憶を頼りに、ホワイトビネガーに塩・こしょうを合わせてマリネ。少し時間を置いてなじませると、紫キャベツの色がいっそう明るく変わっていきました。ひと口味見してみると、思わず「これだ」と声が漏れます。   オレンジやグリーン、イエローが集まるテーブルに、紫が加わると、ぐっと大人っぽい冬の食卓に近づきました。...

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土鍋でつくる、秋のごはん
キセツ ダイドコロ チャノマ

土鍋でつくる、秋のごはん

お鍋が美味しい季節になりました。今日はお休みなので、夜はあたたかい鍋を囲もうと決めていました。頭の中に浮かんでいたのは、大根の鬼おろしをたっぷり入れたみぞれ鍋。体の芯までほっと温まるような、あのやさしい味が恋しくなったのです。 食材を買いに出かけると、季節の終わりとは思えないほど立派な栗に出会い、せっかくなので、お昼は栗ご飯を土鍋で炊くことにしました。 一日中、土鍋と過ごす。そんな日も、いいものです。

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あたたかい飲みものが恋しくなる季節に。
キセツ

あたたかい飲みものが恋しくなる季節に。

ようやく秋らしい空気になりましたね。昼間の陽ざしはやわらかく、朝晩は少しひんやり。そんな“温度のゆらぎ”が心地よくて、歩いているだけで気分が晴れます。この季節になると、あたたかい飲みものが恋しくなります。コーヒーやカモミールティーを淹れて、湯気を眺めながらぼんやり過ごす時間。そんなひとときに欠かせないのが、オキニイリのマグカップです。

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桃の香りに包まれる、季節のひととき
キセツ ダイドコロ チャノマ

桃の香りに包まれる、季節のひととき

先日、実家から箱いっぱいの桃が届きました。箱を開けた瞬間、台所いっぱいに広がった甘やかな香りに思わず深呼吸。手に取ればやさしく応える果実の弾力が、まるで「今が一番おいしい」と語りかけてくるようでした。そんな桃を前に、私は一本のナイフを手に取ります。

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夏のごはん、うつわとともに
キセツ チャノマ

夏のごはん、うつわとともに

毎日のように気温は30度を超え、外に出るだけで汗ばむような暑さが続いています。湿度も高く、体力を消耗しがちなこの季節。何を食べようか考えるのも、少しおっくうになる日もありますね。そんなときに自然と手が伸びるのが、やっぱり麺料理。 火を使う時間はなるべく短く、のど越しがよくて、するりと食べやすいもの。そうめん、冷やし中華、フォー、うどん……涼しさを求めて、つるりと心地よいごはんが食卓に並びます。そしてもうひとつ、この時季に欠かせないのが「盛るうつわ」。どんなうつわに盛るかで、料理の表情も、食卓の空気も大きく変わってくるものです。今回はそんな“夏の麺ごはん”に寄り添ってくれる、渓山窯さんのうつわをあらためてご紹介したいと思います。

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