
静かな秋の日に、マグカップを並べて。
ようやく秋の気候になりましたね。
昼間の陽ざしはやわらかくて、歩いているだけで気持ちがいい。
でも朝晩は、上着を羽織りたくなるほどひんやりしていて、その“温度のゆらぎ”が、秋らしくて好きです。
この季節になると、あたたかい飲みものが恋しくなりますよね。
コーヒーを淹れたり、気分でカモミールティーやチャイティーを選んだり。
湯気を眺めながらぼんやりしている時間は、なんだか心まで潤う、贅沢なひとときです。
「そういえば、私って今マグカップどれくらい持ってるんだろう?」
ふと気になって、棚から全部出してみました。
いつの間にこんなに増えたのでしょう。
その数にちょっと驚きながらも、並べたマグたちを見ていたら、ひとつひとつが愛おしく見えてきました。
旅先で見つけたものもあれば、お友だちからプレゼントされたものもあって。
「これ、あのときのだ」と手に取るたびに、思い出がふっとほどけます。
どれも私の“オキニイリ”。
気分やシーンによって、自然と手が伸びるマグは変わります。
南窯・工藤工さんのマグカップ
休日の朝。
少しゆっくり起きて、クロワッサンを温めながらコーヒーを淹れました。
この日は、窓から入るさらりとした風が心地よくて、カーテンがふわりと揺れるたびに、心まで軽やかになります。
そんな朝には、淡い水色のマグがぴったり。
南窯の2代目、工藤工さんのマグカップです。
背の高さは低めで、飲み口が広い。
コロンとしたフォルムなのに、見た目によらずたっぷり入るところもまたよくて、のんびり過ごしたい休日の朝にちょうどいいんです。
工藤さんの作品は、釉薬のかかり方や色の混ざり方、そして焼きの中で生まれるわずかな温度の違いによって、ひとつひとつ異なる表情を見せてくれます。
色の重なりは偶然のようでいて、どこか計算されたような繊細さも感じ取れます。その美しいグラデーションの虜になっている方も多いとか。
私もそんな唯一無二の美しさに惹かれて、今も少しずつ集めています。

佐藤朱里さんのカップ
この日は少し気温が低くて、お昼になっても部屋の中がひんやりしていました。
温かいものが恋しくなって、ミネストローネを煮込むことに。
スープカップは、佐藤朱里さんのものを選びました。
重なり合う釉薬がつくる奥行きのある表情が本当に魅力的で、何度見てもその深みのある質感にうっとりしてしまいます。
焼成の過程で生まれる白い釉薬の跡が、まるで雪景色のようにやわらかで、シンプルなのに、どこか凛とした個性を感じさせてくれる。
お部屋に置いておくだけでも、静かに存在感を放っています。
普段はガラス戸の棚に並べて、インテリアのひとつとして眺めていることが多いけれど、今日はちょっと特別に。
あたたかいスープを注いで、食卓に登場してもらいました。
この子とはもう長い付き合いですが、まったく飽きがこないどころか、使うたびにどんどん愛着が増していく。私の“オキニイリ”のひとつです。

fogのマグカップ
忙しい午前を終えて、ようやくひと息つけた昼下がり。
家事をひととおり片づけて、やわらかな陽が差し込むリビングで、お気に入りの本を開きながら、fogのマグでデカフェコーヒーを淹れました。
今日はゆったりと過ごしたい気分だったので、GREENを選びました。
やさしい色味が午後の光にやわらかく溶け合って、香ばしい香りとともに、心までふっと軽くなるよう。
fogのマグカップは、手にしっくりと馴染むサイズ感でとても使いやすいです。
縁はほどよい厚みと丸みがあって、口あたりがやさしいのもこのマグの魅力です。
BLUE、WHITE、PINK、GREEN。
4色すべて持っていますが、どの色も絶妙なトーンで、釉薬が生み出すゆらぎが本当に美しいのです。
来客のときにもよく登場してもらうのですが、褒めていただくことが多く、そのたびにもっと好きになります。
そんなfogのマグを、以前お友だちの結婚祝いにペアで贈ったことがありました。
同じシリーズの15cmのプレートをソーサーとして合わせると、上品で落ち着いた雰囲気になり、とても喜んでもらえたのを覚えています。
自分へのごほうびに、そして大切な人へのオクリモノに。
これから寒さが深まっていく季節。
お気に入りのマグカップで、ほっと一息ついてみませんか?