夏が近づき、自然の景色に心惹かれるこの頃。
7月17日(金)から19日(日)まで、陶芸家・小原創太さんとガラス作家・LANさんによる二人展をひらきます。
ひんやりとした石肌のような静かな無地の中に、奥深い表情が宿る小原さんの土のうつわ。
水や空気のゆらぎをそのまま閉じ込めたような、美しい佇まいを持つLANさんのガラス。
異なる素材でありながら、どちらも自然が生み出したような心地よさをまとい、一つの空間の中で美しく調和します。
夏の暮らしを涼やかに彩るお気に入りを、ぜひ見つけにいらしてください。
夏が近づき、自然の景色に心惹かれるこの頃。
7月17日(金)から19日(日)まで、陶芸家・小原創太さんとガラス作家・LANさんによる二人展をひらきます。
ひんやりとした石肌のような静かな無地の中に、奥深い表情が宿る小原さんの土のうつわ。
水や空気のゆらぎをそのまま閉じ込めたような、美しい佇まいを持つLANさんのガラス。
異なる素材でありながら、どちらも自然が生み出したような心地よさをまとい、一つの空間の中で美しく調和します。
夏の暮らしを涼やかに彩るお気に入りを、ぜひ見つけにいらしてください。
雨の日の深呼吸 今年の梅雨は、梅雨らしい雨の日が続いています。 朝からしとしとと降り続く日もあれば、窓ガラスを叩くほど雨音が強い日も。庭の草木はその雨をたっぷり吸って、気づけばひと回り大きく成長しているようです。 そんななか、お茶を淹れて本を開いたり、雨粒に打たれる庭木を眺めたり。家でゆっくり過ごす時間が増えるこの季節は、なかなかいいものです。 けれどその一方で、雨の日が続くと、どこか空気がこもったように感じることがあります。 そんなときは、お気に入りのフレグランスをひと吹き。 細かな霧がふわりと香りと広がると、部屋の空気の角がとれて、表情だけが少し変わるような気がします。 感覚を頼りに選んだ香り 今ではすっかり「いつもの香り」になったこのフレグランス。半年前、Lunefの安藤明日生さんと一緒に、自分だけの一本としてつくったものです。 テーブルいっぱいに並んだ精油の中から、そのときの自分が心地よいと感じるものを選び、ひとつの香りに仕立てていただきました。 印象的だったのは、精油の名前を伏せた状態で選んでいったこと。ラベルに書かれた名前にとらわれず、香りと向き合う時間は今も忘れられません。 「あ、これ好きだな」「もう一度嗅いでみたい」 そんな直感だけを頼りに、一つひとつ選んでいきました。 普段は「リラックスしたいからラベンダー」「すっきりしたいからレモン」と知識で選びがちですが、この日はそれをいったん脇に置いておいて。 そうして集まった精油のバランスを明日生さんが丁寧に整え、一つの香りに仕上げてくださいました。 完成したのは、静かな森を思わせるフレグランス。ベルガモットやローズマリーの爽やかさから始まり、ヒノキやシダーウッド、ベチバーの深い香りへと移り変わります。後から配合を見せていただくと、思っていた以上に木々や土を感じさせるエッセンスが集まっていて、自分の自然好きな内面がそのまま表れていたことに少し驚きました。 出来上がったばかりの頃は少し特別な気持ちで手に取っていましたが、今では仕事の合間にも、夜に本を読む前にも、手に取る回数が増えています。 鞄のポケットに忍ばせて 最近は家だけでなく、旅や出張にも欠かせない存在になっています。仕事で数日家を空けるときも、この小瓶をかばんの隙間に滑り込ませるのがいつの間にか習慣になりました。 旅は大好きなのですが、慣れない宿の部屋に着く頃には、思っている以上に身体が強張っていることもあります。荷ほどきをして窓を開け、外の空気を一呼吸入れたあと、空間にいつもの香りをひと吹き。 すると、見慣れない部屋にもいつもの空気が広がり、張っていた肩の力がすっと抜けていきます。 家で原稿に向かっているときも、旅先のベッドサイドでも、そこにあるのは同じ香りです。遠くに来ているはずなのに、いつもの暮らしの延長にいるような安心感があります。 枕元に軽く吹きかけて目を閉じると、さっきまでいた街の気配が少しずつ遠のいていき、やがて、深い森の中にいるような静けさに包まれ、そのまま自然と眠りにつけるのです。 変わっていくもの、変わらないもの 雨の日も、仕事の合間も、旅先の宿でも。 半年前に名前も知らず、ただ感覚だけで選び集めた精油は、すっかり私の暮らしの一部となりました。 自分のまんなかにある「自然が好き」という根っこから生まれたあの深い森のような匂いは、今思えば、私の暮らしにとってとても必然的なものだったのだと感じます。...
灯りとともに一日をほどく 夕暮れが近づくと、部屋の灯りをひとつ、またひとつとともします。ペンダントランプやデスクのそばの小さなスタンドライト。ひとつ、またひとつと明かりが灯るたびに、昼間とは違う時間が静かに流れはじめます。仕事や家事に追われていると、一日はあっという間ですが、灯りをともす時間だけは、少し立ち止まって深呼吸できる気がするのです。もともと照明が好きで、気に入ったものに出会うたび、少しずつ迎えてきました。ガラス、石、陶器。素材が変われば、光の広がり方も変わります。光を遠くまで届けるもの。やわらかく包み込むもの。陰影を美しく映し出すもの。同じ「灯り」でも、その役割はさまざまです。だからこそ、わが家では部屋ごとに照明の素材や形を変えています。ゆっくりと寛ぐリビングには、空間全体へやわらかく広がるガラスの光を。本を読んだり、少し考えごとをしたりする場所には、石の静かな存在感を。そして眠りにつく寝室には、光をやさしく透かす白磁の灯りを。灯りを選ぶことは、そこで過ごす時間を選ぶことなのかもしれません。慌ただしい日々のなかで、気持ちを静かに整えてくれる。今回は、そんなお気に入りの照明のお話です。 普遍の美しさをまとう。Holophaneのペンダントランプ リビングには、ガラスのペンダントランプを吊るしています。100年以上の歴史をもつ、フランス・ホロフェーン社のものです。気分によって吊るす場所を変えているのですが、ここ最近はソファのそばに落ち着いています。クリアなガラスのシェードは視界を遮らず、昼間はそこにあることを忘れてしまうほど軽やか。厚みのあるガラスには細かな筋が刻まれていて、すっきりとした佇まいのなかに、どこか凛とした気配があります。ガラスの照明が好きなのは、光を受けて表情を変えるところ。灯りをともしていない昼間は静かに空間へ溶け込み、日が暮れるとその存在感がゆっくりと立ち上がってきます。 プリズムガラスを通った光は、無数の溝で細かく屈折しながら、やわらかく空間へとほどけていく。ひとつの灯りでありながら、部屋全体へ光が自然に広がり、ソファや壁、家具の輪郭まで穏やかに照らしてくれます。もともとは19世紀の終わり頃、工場や駅舎などの広い空間に効率よく光を届けるためにつくられた照明なのだそう。光を均一に広げるために生まれたプリズムガラスの技術は、当時としてはとても画期的なものだったといいます。ホロフェーンの照明が今もなお多くの人を惹きつけるのは、装飾のためではなく、光を届けるという目的から生まれた形だからかもしれません。必要から生まれたものには、時代を超えて残る美しさがある。実用のためにつくられた道具が、こうしてわが家のリビングで静かな美しさを見せてくれる。その背景を知るたびに、この照明がよりいっそう愛おしく感じられるのです。 ひんやりした石と、温かい光。トラバーチンのスタンドランプ デスクの横に置いているのは、小さなトラバーチンのスタンドライト。1960年代にフランスで作られたものだそうです。ベースに使われているのは「トラバーチン」という天然の石。触るとひんやりとした質感なのに、やわらかなベージュ色をまとった姿にはどこか温かみがあります。トラバーチンは古代ローマの建築にも使われてきた石材で、長い時間をかけて生まれた独特の孔や模様が特徴です。表面にあるぽつぽつとした小さな穴や縞模様も自然が生み出したもので、その不規則な表情に惹かれます。灯りを点けていない昼間も、スツールの上にある姿をつい眺めてしまうほど。石そのものが持つ静かな存在感があり、オブジェのように空間に佇んでいます。ガラスのように光を透かしたり、白磁のようにやわらかく光を包み込んだりはしませんが、石には石ならではの魅力があります。光を受けることで、その質感や陰影がゆっくりと浮かび上がり、昼間とはまったく違う表情を見せてくれるのです。わが家にあるヴィンテージの家具や道具は、「Wormhole Furniture」の牛丸さんのところで迎えることが多く、この灯りもそのひとつ。古いものでも丁寧に手入れがされているので、身構えることなく暮らしへ迎え入れることができます。この灯りはデスクのそばに置いて、本を読んだり、家で少し仕事をしたりするときに使っています。 白磁を透かす光。3RD CERAMICSのペンダントランプ「time」 こちらは、3RD CERAMICSさんのペンダントランプ「time」。形が違うだけで光の放ち方がまったく違い、ひとつに絞りきれず、思わずふたつ一緒に迎えました。さらりとした白磁の質感が美しく、空間にすっと馴染む佇まい。灯りをともしていない昼間も静かな存在感があり、まるで小さなオブジェのようです。灯りをともすと、白磁のシェードを光がすっと通り抜け、全体に橙色の光がじんわりとにじみます。ガラスのように光を遠くまで届けるのではなく、石のように陰影を際立たせるのでもない。白磁の灯りは、光そのものをやわらかく包み込みながら、空間へと静かに広げてくれるように感じます。透光性の高い磁土が使われているそうで、よく見るとロクロの指あとがふわりと浮かび上がってきます。昼間には見えなかった手仕事の痕跡が、灯りによって現れる。その光景を見るたびに、白磁という素材の奥深さに心を動かされます。そのひと筋ひと筋には、土と向き合ってきた時間が静かに刻まれているかのよう。均一な工業製品にはない、人の手のぬくもりを帯びているところもまた、この照明の好きなところです。 食卓の上に吊るしているのは、「ラッパ」。名前のとおり、下に向かってゆるやかにひらく形が特徴です。光を下方向へと素直に導いてくれるので、ダイニングテーブルとの相性もよく、食事の時間をやさしく照らしてくれます。うつわのざらりとした質感や、グラスについた小さな水滴まで美しく映し出される様子を見ると、光にも料理や道具の魅力を引き出す力があるのだと改めて感じます。ごく薄く透明釉が施されているため、白磁ならではのやわらかな表情はそのままに、汚れがついてもさっと拭き取ることができます。美しさだけでなく実用性も備えているところは、日々使う道具としてとても頼もしい存在です。毎日の食卓で気兼ねなく使うことができる。そんなところもまた、この照明を好きな理由のひとつです。 「しずく」は、寝室に。一滴の水がこぼれ落ちる瞬間をとらえたようなフォルムで、灯していない昼間もまるでオブジェのような佇まいです。光をそっと内側に抱え込むようなこの形は、眠りにつく前の寝室にちょうどいい。灯りをともすと、白磁を透過した光が内側に溜まり、ロクロの線がいっそうくっきりと浮かび上がります。その陰影をただ眺めているだけで、不思議と時間がゆるやかにほどけていくのです。本を閉じて、灯りだけをぼんやり眺める夜もあります。今日はいろいろあったけれど、まあ、いいか。そんなふうに肩の力が抜けて、心までもまあるく整っていくのを感じます。 日々のなかに、余白を灯す 部屋にひとつ、またひとつと灯りをともしていく。 それは、時計の針とは少し違う、もうひとつの時間を家の中に流すような感覚があります。 部屋全体を明るくするのではなく、必要な場所にだけ小さな灯りをともす。そんな、間接照明だけで過ごす穏やかな夜が好きです。 ガラス、石、白磁。 素材が変われば、光の広がり方も、その場に流れる空気も少しずつ変わります。 ゆっくりと寛ぎたいとき。本を読みながら静かに過ごしたいとき。一日の終わりに気持ちをほどきたいとき。 それぞれの灯りが、その時間に寄り添うように暮らしのなかで役割を果たしてくれています。 やわらかな灯りのなかで過ごしていると、慌ただしかった気持ちも少しずつ落ち着いていくように感じます。 今日もまた、ひとつ灯りをともす。 そんな何気ない時間が、日々の暮らしのなかに小さな余白を生み、慌ただしく過ぎていく一日をゆるやかにほどいてくれるのです。
食器棚の模様替え 関東もいよいよ梅雨入り。 しばらくは雨模様かと思いきや、天気予報を見ると向こう数日は貴重な晴れ間が続くようです。窓を大きく開けて風を通しながら、このお天気のいいタイミングで食器棚の模様替えをすることにしました。 冬のあいだ、あたたかみを与えてくれていたぽってりとした土もののうつわを奥へ。 代わりに、涼やかな磁器を手前へと並べ替えていきます。 雨の日が続くこの季節は、洗ったうつわがなかなか乾かず、少し気を遣う時期。その点、白磁のうつわは水切れがよく、布巾でサッと拭けばすぐに乾いてくれます。このじめじめとした季節、白磁はとても心強い味方なのです。 一番手の届きやすい特等席に並べたのは、渓山窯のそば猪口。渓山窯さんのそば猪口は絵柄のバリエーションがものすごく豊富で、その数はなんと100を超えるのだとか。モダンなものから、思わずくすっと笑ってしまうような遊び心のあるものまであるから、つい目移りしてしまいます。そのなかから、少しずつ集めたわが家のお気に入りたち。 ずらりと並んだ柄を眺めながら、さて、今日はどれを使おうか。 その日の気分でうつわを選ぶこの時間も、小さな楽しみのひとつです。 水面を覗き込むような「網目と赤い魚」 模様替えで少し動いたせいか、なんだか冷たいものが食べたくなって。 今日のお昼は、さっぱりとしたざる蕎麦の出番です。 これからの季節の昼食は、ざる蕎麦、そうめん、冷やし中華と、冷たい麺がローテーションで登場します。 選んだそば猪口は、染付の揺らいだ網目に、赤い魚たちが描かれた絵柄。 まるで今にも泳ぎ出しそうな上絵付の魚たちと、ぷかぷかと浮かぶ水草がなんとも愛らしいのです。 網目には「福をすくい取る」という意味があるともいわれ、たくさんの魚が描かれたこの絵柄からは、どこか豊かな実りの景色も感じられます。 冷たいめんつゆを注ぐと、白磁の余白が水面のように広がり、魚たちがその中を泳いでいるかのよう。涼やかな水辺をそっと覗き込んでいる気分になります。 つるりとした口当たりと、目にも涼しい絵柄は、じめじめとした梅雨の時季にもぴったりです。 いつもの甘味が特別になる「七宝柄」 おやつの時間。 冷蔵庫にあったフルーツと寒天を合わせて、簡単なみつまめに。 盛り付けは、円が連なる「七宝(しっぽう)」柄のそば猪口を選びました。七宝柄には、円が四方にどこまでも繋がっていくことから、「円満」や「豊かなご縁」が続くようにという願いが込められているのだとか。 渓山窯さんはもともと宮内省にうつわを納めていた窯元さんだけあって、こうした古典的な柄の美しさは、やはりすばらしいなと惚れ惚れしてしまいます。 そば猪口というと、そばつゆのうつわという印象がありますが、わが家ではこうしてデザートカップとして使うことも。規則正しい幾何学模様と白磁の凛とした雰囲気が品を添えてくれ、いつもの甘味も、どこか晴れやかな気持ちで味わいたくなります。 湯気の向こうに咲く「椿となずな 」 雨の日は、夕方になると少し肌寒さを感じることも。...
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