半年越しの楽しみ
今年の一月、一年で最も寒さが厳しい時期に仕込んだ味噌。
手間ひまかけて大豆を潰したあの日から半年が経ちました。
キッチンの奥にしまった容器を見るたび、「どんな味になっているだろう」と気になりながらも、蓋を開けるのはもう少し先に、と待ち続けた半年間。
いよいよ待ちに待った開封の日を迎えます。
そっと蓋を開けると、まず目に入ったのは表面を覆うように広がったカビでした。
味噌づくりでは珍しくないことだと聞いていたものの、想像していたよりも多く、思わず手が止まります。
もしかしたら、失敗してしまったのかもしれない。
そう思い、慌てて味噌づくりに詳しい友人へ連絡を入れました。
「そのくらいなら大丈夫。まずは表面を削いでみて。」
返ってきた言葉に安心しながら、スプーンでカビの層をそっと取り除いていきます。
すると、下から現れたのはつやのある飴色の味噌。
ふわりと立ち上るのは、大豆と麹がゆっくり馴染んだやさしい発酵の香りでした。
半年という時間を重ねて、味噌はしっかりと育ってくれていたようです。
粗潰しの食感
無事に仕上がっていることがわかったところで、まずはそのまま味わってみることにしました。
夏の暑い日に恋しくなるのは、やっぱりきゅうりとの組み合わせ。
できあがった味噌を少し乗せて、ひと口いただきます。
ほどよい塩味の奥に広がる、麹のやさしい甘み。
そして、口に含むと感じる、大豆のほどよい粒感。
前回はフードプロセッサーを使いなめらかに仕上げましたが、今回はすり鉢を使いあえて粗めに潰してみました。
少し粒を残したことで、大豆の風味がより感じられ、口の中でほろりとほどけるような食感に。
同じ材料でも、使う道具や手の加え方によって、できあがりの表情は変わる。
そんな違いを楽しめるのも、手づくりならではのおもしろさなのかもしれません。
味噌が主役になる、夏の献立
せっかくなら、できたての味噌をいろいろな料理で楽しみたい。
そう思い、その日は味噌を使った料理をいくつか並べることにしました。
まず作ったのは、焼きおにぎり。
自家製味噌に、みりん、酒、ごま油、おろしにんにくを少し加えて、にんにく味噌を作り、おにぎりに塗って焼いていくと、焼けた味噌の香りににんにくの風味が重なり、台所いっぱいに香ばしい香りが広がりました。
シンプルな料理だからこそ、味噌そのもののおいしさをまっすぐ味わえる一品です。
そのほかにも、じっくり焼いた茄子や冷奴には肉味噌をたっぷりと。
きゅうりやエシャロットには、味噌をそのまま添えて。
特別な料理を用意したわけではないけれど、自家製味噌がひとつ加わるだけで、いつもの食卓が少し豊かになる。
時間をかけて作った味噌だからこそ、そのおいしさをより深く感じられた気がします。
味噌から広がる、次の一皿
手間をかけて仕込んだ味噌があることで、次はどんな料理に合わせようかと、食卓を考える楽しみも増えました。
休日の昼に作ったのは、豆乳担々麺。
味噌のほどよい塩気と豆乳のまろやかさが重なり、コクのあるスープに仕上がりました。
味噌は和食の調味料という印象が強かったけれど、合わせる食材や料理によって、また違った表情を見せてくれるもの。
日々の料理に少しずつ取り入れながら、味噌の楽しみ方を広げています。
また二か月後のお楽しみ
味噌は半年ほどで食べ頃を迎えるそうですが、そこからさらに時間を重ねることで、味や香りの変化を楽しむこともできるそうです。
今回はできあがった味噌の半分を別の容器へ移し、残りはもう少しだけ寝かせてみることにしました。
表面にはカビを防ぐためにわさびをのせ、再び戸棚の奥へ。
また二か月ほど経った頃に、もう一度様子を見てみようと思います。
この味噌が、さらに時間を重ねることでどんな味わいになるのか。その変化を、ゆっくり味わっていきたいです。

