初夏の光をガラスとともに
5月も終わりに近づき、日ごとに夏めいてきました。
陽射しが強くなるこの季節、手に取りたくなるのがガラスのうつわたちです。
光を受けてきらりと揺れる姿や、冷たい飲み物を注いだときの涼やかな表情。
ガラスのうつわには、暑さを心地よさへと変えてくれるような魅力があります。
最近は、食卓を見渡すとガラスのものが増えてきたように思います。
わが家にも、一足早く夏が訪れているようです。
朝の光が似合う小さなボウル
ヨーグルトにグラノーラをかけたり、サラダをさっと盛り付けたり。
そんなごく簡単なメニューでも、木村硝子店さんの「サンサボウル」に盛るだけで、いつもの食卓の空気がすっと涼やかに整うのです。
落ち着いたスモークグレーのうつわを朝の光にかざしてみると、ガラスの中に浮かぶ無数の小さな気泡が光を宿して、きらきらと瞬きます。
澄み切った透明なガラスとは少し違う、やわらかな風合い。
そんな独特の質感と、この丸みのあるぽってりとした形のおかげでしょうか。
ガラスなのにどこか温かみがあって、かしこまらずに普段使いできるところが気に入っています。
夕暮れのワインと「キソ」
18時を過ぎても外はまだ明るい。
こんな明るいうちに飲む、冷えたワインは格別です。
一日の長さは同じはずなのに、なんだかいつもより長く満喫できているような感覚になるのは私だけでしょうか。
そんな穏やかな夕暮れ時に寄り添ってくれるのが、木村硝子店さんの「キソ」。
本格的なハンドメイドのワイングラスでありながら、気取りすぎていないところがお気に入りです。
ステムが長すぎず安定感があるので、気負わずに使えるのが嬉しいところ。
それでいて、極限まで薄く作られたガラスは華奢で凛としていて、夕方の光に透ける姿まで美しい。
張りきって料理をした日だけでなく、簡単な夕飯のときも、このグラスがあるだけで十分満たされた気分になれるのです。
極薄の口当たりはとても心地よく、贅沢な余韻を残してくれます。
光を通して表情を変える「tatesuji」
菊地大護さんの「tatesuji」は、うつわとしてはもちろん、オブジェのような佇まいもまた素敵です。
細い縦筋に沿って光が揺れて、テーブルの上に美しい影を落とします。
このうつわをわが家に迎えたのは、まだ空気の冷たい冬のころでした。
冬の澄んだ光の中では、静かで凛とした印象があったのですが、初夏になった今見ると、また少し違って見えます。
強くなった陽射しを受けて、ガラスがきらきらと光を通している姿。
同じうつわなのに、季節によってこんなにも表情が変わるんだな、と最近また手に取ることが増えたように思います。

以前、菊地さんの工房で制作の様子を見せていただいたときのこと。
オレンジ色に熔けた熱いガラスが、型の中で息を吹き込まれることで、あの美しい縦筋の模様が写し取られていく。その光景は、今も心に焼き付いています。
菊地さんの息遣いや工房の熱気を肌で知ってから、このうつわがより愛おしく思えるようになりました。
涼しげなガラスの奥に、どこかじんわりとした温度を感じる理由は、きっとあの場所の空気を知っているからなのだと思います。
冷たいハーブティーがおいしい季節
最近は、家で冷たいハーブティーを仕込むことが増えました。
そのとき手に入った旬のハーブたちを「日ノ出ガラスポット」に入れ、水を注ぎ、そのまま冷蔵庫へ。
ガラスポットから香る爽やかな香りに、夏の始まりを感じます。
火にかけたときにぽこぽこと湯が沸く様子も好きですが、透明なガラス越しに、青々としたハーブが水の中でゆっくり揺れている様子をぼんやり眺める時間もとても心地いい。
見ているだけで涼やかな気持ちになり、せわしない頭の中まで静かに落ち着いていくような気がします。
冷えたハーブティーを注ぐのは、同じく菊地大護さんによるシンプルなグラス。
仕上げにレモンをきゅっと絞れば、いっそう爽やかな一杯の完成です。
味はもちろん、見た目の華やかさまで、来客のときも喜んでいただけることが多く、この時期のわが家の定番のおもてなしです。
バーナー加工によるポットのつるりとした丸みと、吹きガラスならではのやわらかな揺らぎを持つグラス。
異なる手の仕事から生まれたふたつが並ぶと、テーブルの上がより一層涼やかな空気に満たされます。
お気に入りのガラスと迎える夏
ひと口にガラスといっても、製法や素材、厚みによって、その表情はさまざまです。
木村硝子店さんの「サンサボウル」が持つ、リサイクルガラスならではのやわらかな風合い。「キソ」の、極限まで薄く仕上げられた繊細な口当たり。
菊地大護さんの吹きガラスに宿る、手仕事ならではのゆらぎ。
そして、日ノ出さんのバーナーワークから生まれる、頼もしさを感じる佇まい。
それぞれ異なる背景から生まれたガラスたちは、みな違った美しさを持ちながら、日々の暮らしにそっと寄り添ってくれています。
これからいよいよ、夏本番。
陽射しはさらに強くなり、本格的な暑さがやってきます。
それでも、お気に入りのガラスたちが食卓に涼やかな景色を運んできてくれると思うと、これからの季節もどこか楽しみに感じられるのです。
初夏のまぶしい光を受けてきらめくガラスとともに。
今年の夏も、心地よく過ごしていけたらと思います。

