透明ではない美しさに惹かれて

透明ではない美しさに惹かれて

光にかざしたくなるうつわ

朝の陽がきらきらとリビングに差し込む日。
こんな朝には、木村硝子店のサンサボウルの出番です。

朝食の支度をしながらも、つい手に取って光にかざしてみたくなる。
ガラスの中に浮かぶ無数の小さな気泡が、光を受けて星屑のように瞬きます。

ほんのり青みを帯びたグレーの色合いは、透明なガラスにはない静けさをまとい、慌ただしい朝にひと呼吸をもたらしてくれるのです。

ガラスのうつわといえば、澄みきった透明さを思い浮かべる方も多いでしょう。
けれど、このサンサボウルを手にすると、そこには透明とはまた異なる、美しさのかたちが見えてきます。

 

ストーリーに惹かれて

木村硝子店と聞くと、まず浮かぶのは澄んだ透明のグラス。
そのシンプルな美しさが、多くの人に長く愛されています。
薄く仕上げられたガラスは、手に取ると驚くほど軽やかで、その繊細さもまた魅力のひとつです。

「いつかカラーの硝子にも挑戦してみたい。」

そんな思いを長年抱いていた木村硝子店さんは、あるとき小樽の深川硝子工芸さんがブルーグレーの再生硝子で製品づくりをしていると耳にしたといいます。

自動車のスモークガラスを生地にしたその再生硝子は、落ち着いた青みを帯びた色合いと、素材ならではの細かな気泡を含んでいます。
その表情に心惹かれた木村硝子店さんは、ぜひこの生地で商品を作りたいと声をかけ、開発が始まったのだそうです。
こうして生まれたのが、このサンサボウルです。

光を通したブルーグレーの硝子は、時にやわらかく、時に深く。
その色の揺らぎが、儚さを帯びた美しさをそっと運んでくれます。

そんなストーリーを知るほどに、わたしはこのサンサボウルにいっそう惹かれていくのです。

自動車によってスモークガラスの色味が違うため、生産ロットごとに濃淡がわずかに異なり、気泡の入り方も同じものはありません。
どんな表情の子を迎え入れるかは、手に取ってみてからのお楽しみですね。

 

食卓に寄り添う3つの大きさ

サンサボウルには、3つのサイズがあります。

一番小さな391sは、ヨーグルトやアイスクリームを盛るのにちょうどいい大きさ。手に収まりやすく、持ち上げるたびに軽やかさを感じるサイズ感です。
いつも食べているヨーグルトも、このうつわに盛るとなんだか特別に思えてきます。

中くらいの473USsは、果物を入れても素敵です。
みずみずしい果物の輝きと、サンサボウルに浮かぶ気泡の輝きが相まって、食卓に小さな華やぎを添えてくれます。

そして大きな568UKsは、サラダを盛るのにちょうどよいサイズ。
忙しい朝でも、さっと仕立てた一皿があっという間に食卓の主役となり、ガラスならではの透明感が野菜の色彩をいっそう引き立ててくれます。

3つのサイズは入れ子のようにきれいに収まり、収納も場所を取りません。
重なった姿もまた美しく、しまうときでさえ心地よさを感じさせてくれます。
どのサイズも使いやすく、3つとも揃えたくなるうつわです。

 

食卓をしっとりと際立たせる

今日の朝食では、サラダとヨーグルトをサンサボウルに盛り付けました。
いつもの食材なのに、不思議とその空間がすっと澄んで見えます。
気泡をまとったブルーグレーのガラスは、どんなひと皿も静かに際立たせてくれるのです。

今度は、飲みものを注いで楽しんでみたい。
透明なグラスとはまた違う光や揺らぎが広がるのだろうと想像すると、次の出番がより一層待ち遠しくなります。