山源陶苑と雨野紡の出会い
気が付けばもう12月。外は先月よりもさらに冷え込んできました。
街中は眩いイルミネーションの光が灯り、世の中はどこもクリスマスムード一色。自然と心が弾みます。
私も負けてはいられません。お部屋の中でもクリスマスらしく、有意義にしていきましょう。
暖かい我が家で、冷え切った体を芯から温めてくれるお料理たちは、いつもよりとろけるようで特別な気持ちになります。
窓の外に冬を感じながら皆で過ごすお家の時間こそ、心からあたたかさを実感する瞬間なのかもしれません。
折角温かいお料理を作るなら、きちんと耐熱性が保障されたうつわたちがあると良いですね。
もちろん、可愛さも妥協できません。
作家さんの作品は直感的に素敵なものが多いですが、その繊細さゆえに丁寧に扱おうと意識しがちになります。
実際に家で毎日使用するとなると、電子レンジやオーブンで使用でき食洗器にかけられるような、使い勝手の良いうつわがあると嬉しいところ。
利便性も欠かせないです。
調理、食卓、保存までの一連の流れが一つの器で完結してくれると、その多用的な部分につい頼りたくなります。
今回は、急須や耐熱食器の生産で有名な愛知県の知多半島にある常滑焼窯元・山源陶苑にお伺いし、見た目も使い勝手も良いお皿の制作ができないかお話をさせていただくことにしました。
常滑焼
常滑焼は平安時代後期から1000年以上の歴史を有し、日本六古窯のひとつに数えられる焼き物産地です。
日本六古窯とは、瀬戸、越前、常滑、信楽、丹波、備前のやきものを指し、縄文時代から続く技術を継承している、まさに日本生まれ日本育ちの伝統的な焼き物の産地です。
その中でも常滑は、知多半島の西海岸に位置し、伊勢湾に面した町です。
海道を活用した流通の発展により、六古窯の中でも最大規模を誇る産地として栄えました。
急須や食器などの日用品だけでなく、陶管・タイル・衛生陶器などの建築資材まで幅広い製品が作られており、優れた耐久性を持つため、かつては大型の壺や甕も製作されていたそうです。
常滑市は、日本の誇りである米、酒、味噌などの名産地としても知られ、文化を築いた町だと言っても過言ではありません。
そんな中、山源陶苑さんは、「伝統を、更新する」をコンセプトに、時代の要請に応えてきた陶工の姿勢を継承し、現代の生活に合う常滑焼を開発・製造しているそうです。
素材と向き合い、「使うために作られた道具」を常滑で作り続けている山源陶苑さん。伝統的な知恵と緻密で豊かな技術力を兼ね備え、現代の暮らしに活きる、生活に寄り添ったものを作り続けている姿に、深く感銘を受けました。
普段使いできる耐熱プレートの制作は山源陶苑さんにお願いしたいと確信しました。
山源陶苑×アメノイエ 「marais/マレ」
初めて山源陶苑さんのCROCKを見た際、白と青の色味に惹かれ、これに近い色でプレートを作れないかと相談したところ、元々ご用意されていたお皿の白土を赤土に変えれば、似たような色合いに仕上がると提案していただきました。
そこで誕生したのがこちらのうつわ、「marais/マレ」です。
常滑といえば赤、と仰る遠藤さん。
「土管坂」と呼ばれる土管が並ぶ観光名所もあるように、懐かしさと新鮮さを同時に感じるような、古風が香る中にもどこか親しみのある原風景のような景色に、唯一無二の常滑の赤は欠かせません。
そんな赤土の上から釉薬をかけることで、磁器が持つような耐熱性や軽さなどの機能性と、白土では表現できない陶器の温かみのある見た目の両方が実現するそうです。
一色のようで、よく見ると複雑で曖昧な色味は、ヨーロッパのアンティークな風合いを彷彿とさせる上品さ。
湿原を思わせるしっとり落ち着いた佇まいに、まるで水たまりに空が反射して青空と雲が映し出されたかのような自然な淡さ。
それでいて、食洗器、電子レンジ、オーブン使用可能な優秀さ。
これからの時期、出番が増えそうです。
クリスマスや忘年会など、年末は何かと大人数で集まる機会が増えます。
そんな中で大皿があると、活躍してくれること間違いなしです。
盛り付けの自由度が上がり、普段はワンプレート料理に使用しても、器に大きな余白があることで、食卓が洗練された雰囲気に。
小皿に分けるよりも片付けが楽ちんな点、忙しい私にはぴったりです。
marais Serving plate
形は楕円と八角の二種類。
楕円はどんな料理にもオーソドックスに使用でき、丸みがあるため和やかな雰囲気を演出できる点が魅力。
八角形はフランス語でオクトゴナルといい、東洋だけでなく西洋でも縁起の良い形とされ、調和や繁栄を象徴します。普段のお皿とは一味違う、モダンでユニークなテイストとして、仲間入りさせたくなりますね。
しっとりとした白のプレートはどんな料理も映えるので、メイン料理だけでなく、旬な魚を使用したカルパッチョや、オムライスやハンバーグ、緑と果物をふんだんに使ったサラダを。
やわらかさのある青色には、エスニックや中華など、アクセントのある料理をのせるといいかもしれません。
縁の内側に僅かな傾斜もあるため、オリーブオイルや若干の汁気も気にせず盛り付けることができます。
取り皿も大皿同様、オーブンや電子レンジで調理したものをそのまま食卓に出すことができるため、効率が良く、身体にも嬉しく、シェアする人にも喜んでもらえる点が魅力です。
私の家では小皿として、一品料理をのせることも多いです。
小さくても存在感のあるベーシックな白には、キャロットラペやブッラータチーズを使ったおつまみを。
落ち着きながらも爽やかさのある青には、あえて和風の卵焼きや、温かいものだけでなくケーキや焼き菓子、ヨーグルトなどの甘いものも清潔感がでて優しい印象に。
つるっとしたテクスチャーが料理をより輝かせ、やわらかい色味が安心感を与えてくれます。
CROCK・SUYAKI
次回は、同じ常滑で作られているCROCKを使って、ぬか漬けや味噌を作っている様子や、
SUYAKI CROCKでこだわりのお塩を保管しているので、その具体的な使い方や保管方法、お品物の魅力についてもお伝えします。
今年は引っ越しもあり、あっという間に一年が過ぎたように感じましたが、一年先と聞くとなぜか遠く感じます。
時間は有限だからこそ、無意識に毎日手で触れるものは、作り手の愛情を感じられる心揺さぶられるものであると嬉しいですね。
生活に馴染みの深いものほど、美しいものを。食卓の一部にぜひ、『marais』を取り入れてみてください。