作山窯と雨野紡の出会い
アメノイエに引っ越す少し前のこと、私は岐阜県を訪れていました。
岐阜県といえば、合掌造りで有名な白川郷は言わずと知れた世界遺産。
最近登山にハマっている私には、奥穂高岳や槍ヶ岳といった日本の名峰が連なる北アルプスも魅力的です。
食べ物でいえば飛騨牛は外せないですね。
旅をすることや食べることを愛してやまない私が、そんな誘惑に目もくれず向かった先は岐阜県土岐市。
美濃焼で有名な焼き物の町です。
車を走らせていると、あちらこちらに窯元が点在しているのが目に留まります。
引っ越しを前にした慌ただしい時期に無理をしてまでこの地に来たのは、新居に合う私だけのうつわを見つけるためです。
果たして良いものは見つかるのだろうかと淡い高揚感と緊張感を胸にいくつかの窯元やうつわ屋を巡っているうちに、作山窯の店舗にたどり着きました。
入ってまず驚いたのが色の種類の多さです。
店舗に並ぶものだけでもものすごい数でしたが、お話を聞いてみると100種類以上の釉薬を揃え、14種類の土を使い分けているといいます。
無数の選択肢がある色味の中からそれぞれのうつわの形にあったものを選ぶことで出来上がる美しさはまさに、「美味しさは美しさから」という作山窯のコンセプトを体現しているのだなと感じました。
そして何より、私の好きな色で好きな形のうつわを作ってもらうことが出来るのではないかという期待。
図々しい想いが浮かんできた私は、早速スタッフの方に相談してみることにしました。
店舗のすぐ近くに工房があり、スタッフの方のご好意で見せていただく事に。
とっても広くて大きな工房に驚きを隠せない私。
工房の中では、各持ち場に分かれて多くの職人さんが作業されていました。
素焼きされたマグカップに釉薬をかけているところ。
いくつもの細かい工程を経てうつわは出来上がっていきます。
工房の横にはアトリエもあり、そちらも特別に見せていただきました。
店舗で見たうつわの何倍もの種類で埋め尽くされたアトリエに圧倒されていると、奥から作山窯の代表、髙井宣泰さんがいらっしゃいました。
これも何かのご縁です。改めて代表に一緒にうつわを作らせていただけないかとおこがましくもお願いをしたところ、なんと引き受けてくださることに。
そうと決まれば色選びです。
これだけたくさんの釉薬の中から色味を決めるのだから悩むに違いないと思いきや、引き寄せられるようにあるカラフルなうつわに目が留まりました。
このカラーリングでもう少し落ち着いた色味にしたらすごく素敵だろうな。
そんな想いを汲み取っていただけたのか、土の種類を変えるだけで随分違った表情になるとご提案いただきました。
土を変えるなんて思いもよらぬ発想だったので、さすが長年うつわと向き合ってきた職人さんは目の付け処が違うなと、まさに目からうろこが落ちる思いでした。
良き出会いに名残惜しい気分で帰路につき、引っ越しも無事に済み少し経った頃。
作山窯からついにサンプルが届きました。
なんと土を変えただけでなく、焼成方法も2パターン試して見せてくれました。
土を変え、焼き方を変えるだけでこれだけ見た目に差が出るのだなと、焼き物の奥深さを知ることができました。
また、本当に良いものを一緒に作ろうとしてくださっているのだとしみじみ感じるうれしい便りでした。
焼成方法は酸化焼成と還元焼成の2通りとのことですが、今まで焼き方の違いまで意識したことはなかったので、こんなに雰囲気が変わるとは思いもしませんでした。
どちらの焼成方法のうつわも魅力があり、つい迷ってしまいます。
今回はまさに当初私が思い描いていた色味の通りにあがってきた、酸化焼成でお願いすることに。
北欧の陶芸作家の作品を彷彿とさせる、モダンで洗練されていながらも淡く繊細な雰囲気が感じられ、素敵な食卓になるに違いありません。
うつわの色味はなかなか思うように仕上がらず、何度もサンプルを作り直していただくものだと思っていました。
奇跡的に1度のやり取りで理想のモノができたのは、高井さんが親身に相談に乗ってくださり、うつわに合った焼き方をご提案してくださったからだと改めて感謝の気持ちでいっぱいです。
高井さん、本当に素敵なうつわをありがとうございます。
SAKUZAN× アメノイエ「fog」
そして誕生したのがこちらのうつわ。その名も「fog」。
まるで霧のベールに包まれたように、柔らかな表情と幻想的な空気感をまとった「fog」。
静かで上品な佇まいが、手に取るたびに心を穏やかにしてくれます。
日常使いできる特別なうつわ。
色んなシーンで使えたらと、プレート3サイズ、ボウル3サイズ、マグカップの7型も制作していただきました。
自然の情景や異国の風景を想わせる美しさが、どんな食卓にもそっと溶け込み、 料理の魅力を引き立てて、日々の暮らしに豊かさと温もりを添えてくれます。
fog MUG
365日、1日のいろんなシーンで活躍するマグカップ。
毎日手に取るこのカップは、私の生活に欠かせない存在です。
ばたばたする朝のはじまりに、たっぷり注いだコーヒーやカフェオレを一杯。
程よいサイズが温かさをしっかりキープしてくれるので、忙しい朝でもほっと一息つけます。
お休みの日のお昼には、スープカップとして使うことも。
スープやミルクティーをたっぷり注げるサイズ感で、あたたかさが体にじんわりと広がります。
夜にはハーブティーやホットチョコレートを入れて、一日の疲れを癒すリラックスタイムに。
手にしっくり収まるこのカップが、ゆったりとしたひとときをそっと包んでくれます。
朝から夜まで、いつもそばで寄り添ってくれるこのマグカップが、日々の暮らしを優しく支えてくれます。
fog BOWL
日々の食卓にぴったりなfogボウルは、14cm、17cm、20cmの3サイズ。
深すぎず、浅すぎず、使いやすい縁の高さ。
サイズごとに異なる使い方ができるので、さまざまなシーンで活躍してくれます。
14cmのボウルはフルーツやヨーグルト、グラノーラなど、ちょっとした朝食やおやつをさっと出したい時に。
もちろん、取り皿としての出番もたくさんあります。
17cmのボウルはサラダやポトフなど、一品料理を添えたいときにちょうど良い。
バランスよく盛れるので、食事がより美味しく感じられます。
料理の存在感を引き立てる、適度なサイズ感も魅力。
そして、20cmのボウルは、スープパスタやカレー、メインディッシュなど、ボリュームのある料理にぴったりの大きさ。
深さもありしっかりと盛れるので、食事の中心となる料理も美しく収まります。
食事は味も大事ですが、見た目もこだわりたい。
そんな私がたくさん食べたいときに重宝する少し大きめの深皿です。
それぞれのサイズのボウルたちが、毎日の料理を引き立て食卓を彩ってくれています。
fog PLATE
リムが広いものから細いものまで。丸かったり四角かったり。
プレートというと色々な形があります。
今回私が作山窯にお願いしたのは最もシンプルな馴染みのある形状。
「Simple is best」が最も似合う形なのではないでしょうか。
15cm、21cm、27cmの3サイズで、どれも毎日の食事で大活躍しているプレートです。
15cmのプレートは、サラダや小さな前菜を盛り付けるのに。
ちょっとしたおつまみやデザートをのせる時もありますし、取り分け皿として使うのにも持って来いです。
小さめでも十分存在感があって、食卓に彩りを加えてくれます。
4色あるので気分や季節に合わせて使い分けるのも楽しみの一つ。
21cmのプレートは、もっとも出番が多いちょうどいいサイズです。
トーストやパンケーキ、炒め物を盛りつけるのに使いやすく、バランスよくいろんな料理を盛れるのがポイント。
これ一枚で満足感が出ます。
27cmのプレートは、ボリュームのある料理を盛りたいときに大活躍。
メインディッシュやシェアする料理にぴったりで、大きめのおかずやピザ、パスタなんかをたっぷり盛れるサイズです。
みんなで囲んで食べる料理にちょうどいい大きさですが、ワンプレートとして使うのも食卓が映えて気分が上がります。
日常にちょっとした特別感を添えてくれる「fog」。
私だけのオリジナルのうつわをつくるだなんて初めての経験でしたが、毎日の食事がより楽しく、心地よいひとときになったので大満足。
これだけ聞くと皆さんも使ってみたいと思いませんか。お気に入りの1枚を見つけて、毎日の食卓に彩りを加えてみてくださいね。