二ヶ月ぶりに蓋をあけて
街のあちらこちらで金木犀の香りが漂う、心地よい季節になりました。
戸棚の奥で静かに寝かせていた自家製味噌も、あれから二ヶ月。そろそろ、どんな味わいに育っているか確かめてみる頃合いです。
今年の一月、大寒の日に手間をかけて仕込んだ味噌。半年ほど待って八月にようやく蓋を開けたときは、一面に広がったカビに思わず息を呑んだものの、恐る恐る味見をしてみると驚くほどおいしい。あっさりとした味わいで、そのまま野菜につけて食べるのがお気に入りでした。
あのまま食べ切ってもよかったのですが、もう少し寝かせたらどうなるのか気になり、半分だけさらに二ヶ月熟成させることに。友人から教わった「わさびを乗せるカビ予防」も試しつつ、そっと戸棚の奥へ戻しました。
そして先週、いよいよ蓋を開けてみると、心配していた表面のカビは見当たらず、ほっと一安心。ふわっと立ち上る芳醇な香りと、以前より濃くなった色合いに、しっかりと発酵が進んでいることが伝わってきます。
飴色から、深い焦茶色へ
右が八月に開けたときのもの、左が今回のものです。 こうして並べてみると、焦茶色に深まった色合いはもちろん、粒感の違いもよく分かります。八月のものはまだホロホロとした質感が残っていましたが、寝かせた味噌は大豆の粒が全体にしっとりと馴染み、見た目にもなめらかさが増していました。
少し味見をしてみると、その違いは歴然です。 以前感じた尖った塩気が落ち着き、ほんのりマイルドな口当たりに。塩味や大豆の旨み、麹の甘みがきれいにひとつにまとまり、心地よい余韻が残ります。
たった二ヶ月、戸棚で寝かせていただけなのに。 目に見えない発酵の力が、ここまで味を育ててくれる。手づくりならではの面白さに、すっかり引き込まれてしまいました。
せいろで蒸す、秋の味覚
味噌を開封した日のごはんは、やっぱり味噌料理に決まりです。 せっかくなら、秋を感じる旬の食材と一緒に。そう思い、コクが増したこのお味噌を使って「秋鮭ときのこのちゃんちゃん焼き風」を作ることにしました。
まずはせいろ全体を水でしっかりと濡らします。
焦げ付きを防ぎ、蒸気をきれいに回すための大切な下準備です。
クッキングシートを敷き、手でほぐしたきのこをたっぷりと。その上に秋鮭を並べます。
自家製味噌にみりんと酒、すりおろした生姜を合わせた特製の味噌だれを、全体に回しかけて。最後にバターをひとかけら乗せたら、準備は完了です。
お湯が沸いた鍋にせいろをのせると、やがて柔らかな白い湯気が立ち上ってきました。ひのきの清々しい香りと一緒に、味噌とバターのコクのある匂いが、湯気にのって台所いっぱいに広がっていきます。
湯気とともに味わう秋
蒸し上がったら火を止め、そっと蓋を開けます。仕上げに刻んだ大葉と白いりごまを散らし、せいろのまま食卓へ。炊きたての雑穀ごはんと一緒に、いただきます。
今回はすり鉢を使った「粗潰し味噌」に初めて挑戦してみましたが、時間とともにゆっくりと表情を変えていく味噌を育てる日々は、とても楽しく贅沢な時間でした。
残りの味噌は、寒くなるこれからの季節、豚汁や鍋料理で大切に味わっていきたいと思います。
そして「来年はどんな味噌を仕込んでみようか」と、少し気が早いけれど、今から次の冬の仕込みが楽しみでなりません。
秋鮭ときのこのちゃんちゃん焼き風
- 生鮭2切れ
- しめじ1/2パック
- えのき1/2袋
- 舞茸1/2パック
- バター10g
- 大葉(千切り)3〜4枚分
- 白いりごま適量
- 味噌大さじ1と1/2
- みりん大さじ1
- 酒大さじ1
- しょうゆ小さじ1
- ごま油小さじ1
- 砂糖小さじ1/2
- おろし生姜小さじ1/2
- 鮭は軽く塩を振って5〜10分置き、表面に出てきた水分をキッチンペーパーで丁寧に拭き取ります。
- きのこ類は石づきを落とし、手で食べやすい大きさにほぐしておきます。
- 味噌だれの調味料をすべて合わせ、よく混ぜ合わせます。
- 水で濡らしたせいろにクッキングシートを敷き、ほぐしたきのこを広げ、その上に鮭を並べます。
- 合わせた味噌だれを鮭ときのこ全体に回しかけ、鮭の上にバターをひとかけらのせて蓋をします。
- お湯がしっかり沸いた鍋の上にせいろをのせ、中火で12〜15分ほど蒸します。
- 鮭に火が通ったら火を止め、仕上げに千切りにした大葉と白ごまを散らして完成です。

