「和食を作る日が増えました」%世田谷・yup!さんと大黒屋の箸

「和食を作る日が増えました」
世田谷・yup!さんと大黒屋の箸

世田谷の穏やかな街並みを歩いていると、ふわりと香ばしいコーヒーの匂いが漂ってきました。コンクリートと木の温もりが調和した、オープンな造りの入り口で、一樹さんと百絵さんがいつもの明るい笑顔で迎えてくれます。

ここ「yup!(ヤップ)」は、コーヒーとクラフトビール、自家製のドーナツやミード(蜂蜜酒)を楽しめるお店。

 

ふっくらとしたドーナツが並ぶショーケースのすぐ後ろで美味しそうなビールが注がれる。一見意外に思えるこの組み合わせも、すんなりと景色に溶け込んでしまうから不思議です。

フードは百絵さん、ドリンクと心地よい音楽のセレクトは一樹さんという、お二人の絶妙なハーモニーでこの温かい空間が作られています。

 

ビール好きの友人を通じて仲良くなった一樹さんと百絵さん。
ある日お二人から「なかなかお店に置く理想のお箸に出会えなくて…」という相談を受け、自信を持っておすすめしたのが、大黒屋の箸でした。
それを一目で気に入って、お店用にとお迎えしてくれたお二人。

その後、実際の使い心地はどうだろう。
私自身も愛用しているものだからこそ、そのよさを改めて一緒に語り合えればと、今日はお店の「まかないの時間」にお邪魔させてもらうことにしました。

 

「よかったら、一杯どうですか?」

カウンターに腰を下ろすと、一樹さんがさっそくクラフトビールを注いでくれることに。
普段はとても穏やかで話し上手な一樹さんですが、サーバーのタップを握った瞬間、スッと職人のスイッチが入ったような真剣な表情に変わるのがとても印象的でした。

 

きめ細やかな泡とともに、丁寧に注がれていく黄金色の一杯。
その華やかな香りと心地よい喉越しを堪能していると、奥からなんとも美味しそうな匂いが漂ってきました。百絵さんの手がけるまかないのできあがりです。

 

まかないの時間

雨野  「今日のまかないは、なんですか?」

百絵さん「今日はアジフライです。あとは冷奴と菜の花とわかめのお味噌汁ですね。」

 

目の前に並んだのは、まかないとは思えないほど豪華な食卓でした。主役のアジフライの横には、さらりとみょうがのフライも添えられて、まるでお店の定食のよう。

雨野  「冷奴の上にのっているものは何ですか?」

百絵さん「時々お店でおでんを出すことがあるんですけど、その出汁を取ったあとの鰹節を炒って、刻んだみょうがとお醤油を和えたものです。」

役目を終えた食材を、こうして余すことなく自分たちのまかないに繋いでいく。百絵さんの料理の腕前と、食材への優しい眼差しがひしひしと伝わってきます。

 

「これだ」と思えた箸

一樹さん・百絵さん:「いただきます」

お箸でサクッとアジフライを切り分け、美味しそうに頬張るお二人。その姿を眺めながら、さっそく使い心地を聞いてみました。

雨野    「実際にお箸を使ってみて、いかがですか?」

一樹さん「めっちゃいいっす。本当に、お箸が上手に使えるというか」

百絵さん「そうそう、お箸が上手に使える気がして気分も上がるし、最近まかないも和食が増えた気がする。お客さんにも使ってもらいたくなるような『これだ』と思えるお箸をずっと探していたんです。」

一樹さん「早速お客さんにも使ってもらっていますが、よく褒めてもらいます!」

 

お二人も使い始めてすぐ、今まで使っていた箸とは全然違うと驚かれたのだとか。
先端に向かって極限まで細く削り出された大黒屋の箸は、まるで自分の指先がそのままスッと伸びたような感覚に。自然と箸の所作が美しくなるような、持ちやすさなのです。

雨野  「大黒屋のお箸の決め手は何だったんでしょう?」

一樹さん「やっぱり見た目ですね!」

百絵さん「和風すぎない洗練されたデザインでいいですよね。」

もともとレストラン向けに作られた背景もあり、伝統的な江戸木箸でありながら、どこか洗練されたそのデザインは、和食に限らず現代の食卓に心地よく馴染みます。

百絵さん「紡さんが『世界一に輝いたことのある、あの有名なレストランでも使われてるお箸なんですよ』って教えてくれたじゃないですか。それにもやっぱり惹かれましたね(笑)」

一樹さん「けど、やっぱり実際に持ってみた時の持ちやすさと見た目で『これだ』と思えたのが一番大きかったですね。」

雨野  「そう言っていただけて、とても嬉しいです。ちなみに、今日のお料理が盛られているうつわもどれも素敵で気になっていたのですが、うつわ選びにも何かこだわりがあるんですか?」

一樹さん「こだわりを持って買ったうつわもありますが、実は世田谷って、家の前に『ご自由にお持ちください』と不要になったものを出している人が多くて。そこから気に入ったものをもらって帰ることもよくあるんです。今日、この冷奴をのせている小鉢もそうなんですよ。」

 

「自分たちが心地よいと思うかどうか」という基準で選ばれたものたちが同居している景色はなんて素敵なのでしょう。
そのしなやかな審美眼こそが、カウンター越しに笑い合うお二人の、居心地の良い空気を作っているのだと思います。

 

肩の力が抜ける場所「yup!」

リラックスした空気のなか、ずっと気になっていたことを聞いてみます。

雨野  「ちなみに、なんで『yup!』というお店の名前にしたんですか?」

一樹さん「『YES』のスラングで、『そうだね』とか『オッケー』みたいな軽い感じで。外国人の方も結構使っている言葉なんです。お店の名前を決める時、ある日2人で飲んでいて、どっちかが『yup!』って言って。あ、それいい!ってなりました(笑)」

お酒の席でのひらめきから生まれた、 肩の力がすっと抜けるそのネーミングセンスは、お二人の飾らない人柄そのものです。

「このお箸を迎えてから、和食を作ることが多くなりましたね。」

ぽかぽかとした穏やかな春の陽気に包まれた帰り道、百絵さんのその言葉をふと思い出しました。
良い道具は、ただそこにあるだけで、使い手の行動を少しだけ変えてくれる。
今日はそんな光景に触れることができて、なんだかとても嬉しくなりました。

今夜は私も美味しい和食を作って、大黒屋のお箸でゆっくりいただこうかな。

一樹さん、百絵さん。素敵なお時間をどうもありがとうございました。

yup!

COFFEE / DONUT / CRAFT BEER / MEAD

〒155-0031 東京都世田谷区北沢1-32-18
水曜定休、他不定休あり

 

キオク – Memory

お二人の優しい空気感と、センスあふれる心地よい空間。
世田谷を訪れたときには、ぜひ立ち寄ってみてほしい素敵なお店です。