山源陶苑のCROCK・SUYAKIを身近に
以前ご紹介した急須や耐熱食器の生産で有名な愛知県知多半島の常滑焼窯元、山源陶苑さんでは、CROCK(味噌や梅干し、ぬか漬けなどの貯蔵用に釉薬が施された蓋付の甕)や、SUYAKI CROCK(堅牢さを持ちながらも吸水性に優れ、湿気を嫌う塩などに最適な陶製の容器)も制作されています。
CROCK
常滑の甕は、古来より酒や水、穀物などの貯蔵用具として、海路を通じて全国に運ばれていたそうです。
その確かな安全性と品質を現代の生活に取り入れ、昔の甕のイメージとは一線を画す、CROCKはモダンでシンプルなフォルムと、淡く優しい白と青の上品な色味が特徴的です。
CROCKに使用する常滑の赤土は、粘土分と鉄分を多く含み、焼き締めることで吸水性が極めて低くなる焼き物。
本体が肉厚で、中身が外気の影響を受けにくく、乳酸菌や酵母菌が嫌う急激な温度変化から守るとともに、釉薬により内外を消毒でき、カビ菌などから発酵菌を守ってくれる。
また、色や臭い移りの心配もなく、用途が広く、酸や塩分にも強いため、漬物、味噌、梅干し、ぬか漬けなどの仕込みや貯蔵用に最適だそうです。
台所に置いても大きすぎることなく、インテリアの一部として自然に馴染む見た目で、蓋の上に物を置いたり、CROCK同士をスタッキングすることも可能な、スタイリッシュで画期的なお品です。
これなら私も取り入れやすいとおもい、お家で使ってみることに。
ここにたどり着いた理由は、何といっても発酵のちからに夢中だからです。
発酵のちから
発酵食品は体内に吸収されやすく、腸内環境を整え免疫力を高め、抗酸化物質が体の酸化を防ぎます。また、発酵の過程でつくられるアミノ酸や酵素が新しい細胞の生成を促進し、美肌効果も期待できると言われているそうです。
さらに、代謝を上げて生活習慣病の予防にも役立ち、疲労回復やストレス軽減にも効果的で、体に良いことばかりです。
「保存性、旨味、健康」と聞いて、忙しく過ごしている私にはぴったりだと実感しました。
お酒、お味噌、お漬物、お出汁、などリスペクトの高い日本の食文化ですが、今では美味しいレストランも多い分外食が増え、忙しい日には出来合いのものを買って、ご飯の時間はぱぱっと済ませるなんてことも。
自宅で日本食を自分で自分の為に作る機会も少なくなったようにおもいます。
日本の名産には文化として発酵のパワーを持っているものが勢ぞろいしているのに、
その魅力にもっと丁寧に触れないなんてもったいない。
そんな違和感を感じる中で、発酵食品を通して腸活を始めたい、免疫力を高めて健康でいたい、と意識し始めた私にとって、まさにうってつけでした。
CROCKで味噌づくり
まずは、比較的簡単といわれる「味噌づくり」に挑戦してみます。
寒くて起きられない朝も、季節の旬の野菜と一緒に、お味噌汁で一日のスタートを切ろうと思い、自分を労わる第一歩です。
はじめは熱湯で消毒する必要もなく、キッチンペーパーで食品用のアルコール消毒液で一拭きします。
1.前日の夜に、大豆を水で洗い、一晩たっぷりの水に浸し、豆をふっくら膨らませます。
2.浸した大豆を新しい水に入れ、指でつまんで簡単につぶれるくらい柔らかくなるまで煮ます
3.米麹と塩をよく混ぜて、塩麹を作ります。
4.煮上がった大豆をざるで水を切り、少し冷ましてからフードプロセッサーですりつぶします。
(粗めにつぶすと粒感のある味噌に、なめらかにするとクリーミーな味噌に。)
5.大豆と塩麹を混ぜ、よくこねて団子状にします。
6.CROCKに隙間ができないように押し込み詰めていきます。
7.上部に塩を薄く振りかけます。
この時に、カビ防止のために酒粕で蓋をすると効果的なんだとか。
塩分濃度が低すぎると、カビが生えやすくなるので、注意したいところです。
ここまでできたら容器の蓋を閉じて、直射日光の当たらない台所や玄関などの涼しい場所に置いておきます。
味噌仕込みをしていると麹の力で、手がつるつる、すべすべになってきて、少し手を洗うのをとまどってしまいますね。
そんなお味噌は発酵中、香りや見た目の変化を楽しむことも味噌づくりの醍醐味。
お味噌の仕込みは「寒仕込み」と呼ばれ、雑菌が繁殖しにくい12月頃から2月頃にかけて始めるのが良いと言われているそうです。
これを機に、是非皆さんもお家で味噌づくりに挑戦してみてはいかがでしょうか。
CROCKでぬか漬けづくり
せっかくなので、もう一種類、日本古来のスーパーフードといわれる「ぬか漬け」にも挑戦してみました。
ぬか漬けは、旬の野菜を使うことで季節の風味を感じられたり、素材の持ち味を十分に引き出してくれるので、健康や美への意識以外にも、一緒に育てながら変化を愉しめる魅力がありますね。
CROCKに準備したぬか床と野菜を水洗いして入れていれていきます。
今回はかぶ、人参、きゅうりで試してみることに。
大きいものは半割りや四つ割りにしておくと、漬かりが早いそうです。
かぶは葉部分も栄養価が高いので忘れずに。
長く漬けると発酵が進み、味が濃くなるので、漬け込み時間は野菜の種類や好みに合わせて調整。
できるだけ毎日ぬか床を混ぜて、野菜が均等に漬かるようにしています。
CROCKは冷蔵庫での使用も可能ですが、中身の保存物によって適切な温度で保管することをおすすめされています。
また、再度使用する際は、食洗機などは使用せず、水洗い後に天日干しで十分。
何度でも繰り返し使うことができるので、梅干しの保管や米櫃としても、さまざまな場面で活用できて助かっています。
サイズ感も大きすぎず、小さすぎず、それぞれ重ねて置けるので、機能美を兼ね備えたCROCKで台所の一角をデザインしたくなりますね。
SUYAKI CROCK
SUYAKI CROCKは、性質の異なる2種類の土を配合した、頑丈で吸水性に優れた陶製の容器。
表面に釉薬を施さず焼き締めることで吸水性を高めている為、塩が固まる原因である湿度変化を防ぎ、塩をサラサラに保つことができるそうです。
外部施設における検査では、釉薬のかかった陶製の容器に比べ、容器中の塩が4倍ほど乾燥するという結果が出ているとのことで、効果が実証されていると安心して使用できますね。
また、低温焼成ながら焼き締まりの良い土を用いることで、通常は低温で焼くと欠けたり割れ易く脆くなり扱いにくくなってしまう短所を克服。
余白を感じるシンプルで端正な佇まい
私はSUYAKI CROCKもCROCKと同様、色によってお塩の種類を分けて、コンロから少し離れたところに並べています。
ミネラルをとりたいときの天然の海の細かいお塩、サラダやお肉にかける粗めのお塩、お菓子作りなどで活躍するゲランドのお塩、とお料理にはお塩の出番が何かと多く、こだわりたいもの。
SUYAKI CROCKは、お塩を良い状態に保ちながら、スタイリッシュに保管できるので、ついつい台所に立つのが楽しくなりますし、道具として生活に馴染んでいくのも嬉しい点。
専用のスプーンも約小さじ一杯の大きさで使いやすく、スプーンとしての素材感も珍しく、ぽってりとしていて、どこか愛着が湧きます。
色味はCROCKとは少し雰囲気が変わり、ふんわりとした落ち着いたトーンの三色で、素焼きならではの質感も相まって、余白を感じる端正な姿は、台所の印象を涼しく軽やかな空間へと変えてくれます。
こころ温まる朝
お味噌汁、おにぎり、ぬか漬け、のシンプルな食事。
自分の手で丁寧に育て、心なしか光ってみえるお料理たち。
日本人として、このクラシックスタイルは、身体の芯まで喜んでいるようにおもいます。
冬は忘年会やクリスマスでついたくさん食べてしまう時期ですが、そんなときこそ発酵食品は強い味方。
CROCKやSUYAKI CROCKを活用してお家での食事でバランスを取りながら、忙しい師走を乗り切りましょう。